昨日書いたことに続くようで、いささか気が引けるのだが、昨日、作詞家のなかにし礼氏が亡くなったので、昨日の続編のような形で「歌謡詞」について書く。私は20代半ばで「北海道作詞大賞」という“賞”をいただいている。その少し後で「日本作詞大賞新人賞」のノミネート作品にあがったこともある。だから、少しばかり“作詞”に対しては思い入れがあるのだ。実はノミネートされた時、日本作詞家協会の重鎮から「東京に出て来ませんか」と誘われた。「東京に出てくれば、いろいろな方に紹介してあげられます」とまで言われたのだ。けれども、私には、若い時に東京へと出て行った時の“嫌な思い出”があった。上野公園で寒さに震え、見知らぬ男性から、不意に抱き着かれた“嫌な記憶”しかなかった。怖気づいている私は、東京へと出れなかった。本当は、あのとき「作詞」と「占い」の両方で“腕試し”すべきだったのかもしれない。とにかく私は東京に出なかったが、もし作詞家を目指すのなら、“この人”のような作詞家になりたいと思ったのが、なかにし礼氏であった。それくらい私の魂を揺さぶったのが彼の作品群だった。一般的には阿久悠氏の方が知られているし、ヒット作品数が多いような気がするが、芸術的な観点から評価した場合には、文句なく、なかにし礼氏が抜きんでている。彼の作品の中で、芸術的な秀作としての三点を上げるなら「石狩挽歌」「別れの朝」「時には娼婦のように」の三つが好い。そのどれもに、歌謡詞でしか表現できない素晴らしい言葉の帯がある。例えば「石狩挽歌」には《 破れた網は 問刺し網か 》という一行がある。これは実際に漁をしていた漁師たちにしか通じない言葉で、一般の人には何が何だかよく解からない。けれども、この一行で、漁場の雰囲気すべてが伝わってくる。そういう“情景描写”を描かせたら、なかにし礼氏の右に出る者はいないのだ。「時には娼婦のように」という歌も素晴らしい歌詞で、私が何より素晴らしく思ったのは《 バカバカしい人生より バカバカしいひとときがうれしい 》という一節だ。ここには何の情景描写もない。単なる心象風景だ。けれども、ここには多くの人が語りたくても語ることが出来ない人生の不条理が凝縮されている。人は誰でも、よわくて、もろい時がある。そういう時に、人は“娼婦”の癒しを求めようとする。けれども、この物語の男女は、共にまともなカップルであって“娼婦”と“その客”ではない。だから「時には娼婦のように」なのだ。そして「別れの朝」だが、これは曲も素晴らしいのだが、特に《 ちぎれるほど手を振る あなたの眼を見ていた 》という一行が効いている。ちぎれるほど手を振っている相手と、その相手の眼だけを見つめ続けている自分とがいる。その両方を一行の中に見事に描き出している。普通は「手を振る」相手に対しては、その「手」の方に視線がいくのが普通だが、深い愛で結ばれた二人の場合だけが「眼」だけを見つめている形となる。映画なら、カメラを何台も用意して、さまざまな角度から、撮らないと描けない描写なのだ。
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