人には誰でも「人生最大のピンチ」と言えるような時期がある。それを街角インタビューの中から“抜粋していく”のが、あまり目立たないTV番組「ガイロク(街録)」だ。近年は、普通の人達に街角でインタビューする番組が多くなった。一見、幸せそうな人たちが、意外なほどの悩みや問題を抱えていたり、見掛けからは想像できない過去を持っていたりする。他の似たような番組と多少違いがあるのは、その「人生最大のピンチ」を、あなたはどうやって乗り越えて来たのか、その部分も訊いていて、百人百様の「ピンチの乗りきり方」を教えてくれる点にある。もちろん、教えてくれるとはいっても“上から目線”で教えるのではない。あくまでも「自分の場合にはこうだった」「今思えば、こういう風にしていたことで救われた」という形で教えてくれる。それらは個々の人達が実際の人生の中で、どうしようもないような“悩み”や“苦しみ”のなかで、それでも生きていくために必死でしがみついた方法なのだ。よく「ワラをもつかむ」という表現があるが、何にでも飛びつく。何にでも縋りつく。その中で、かすかな「希望」を見出していく。そうやって生きていくように出来ている。「希望」は“生きる勇気”を与えてくれるのだ。人間というのは“絶体絶命”のような時、最初の内は嘆き悲しむのだが、徐々に冷静となり、このピンチから抜け出す方法はないか、日頃、神仏など信じない人でも、必死に祈ったりする。この番組を見ていると、多くの人が世の中の“不条理”を味わっている。客観的にみれば「そんなこと」と思えるような言葉や行動や出来事に救われている。決して神様の言葉でも、偉人たちのような行動ではない。家族の一言やちょっとした思い遣り、ささやかな発見、そういう中で“救い”を得ていくのだ。そして、そういう「ピンチ」が“今に繋がっている”という人達も多い。その後の仕事に繋がっているとか、趣味に繋がっているとか、交友関係に繋がっているとか、人生上のマイナスではなく、プラスに繋がっているケースが多いのだ。嫌なニュースが多い今日、過去と向き合う時間を取り戻させてくれる“素晴らしい番組”なのだ。
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