私は前から「パワハラ」というものの定義がよく解からないでいる。今年は年初から「スポーツ界のパワハラ問題」が相次いでニュースとなった。相撲界、アメフト界、女子レスリング界、ボクシング界、そして女子体操界…みんな“パワハラ”と“暴力”と“コーチ問題”と“金が絡む権力の構造”だった。そして、マスコミや国民の多くは“弱い者”“力なき者”の方に味方しがちである。確かに、権力を持つ者が“すべてを牛耳っている世界”のように見える。ただ多かれ少なかれ、そういうことは一般社会にもある。もしかすると、マスコミや国民の多くは、自分達も“弱い者”として、日頃から“強い者”に虐げられてきているという実感があり、権力者を突き落とすことに共鳴と快感を覚えるのかもしれない。ただ、今回の女子体操界の問題には“微妙な違い”があるような気もする。告発者である宮川紗江氏は“暴力をふるった”速見コーチのは「パワハラではない」と主張し、逆に“暴力を咎めた”塚原千恵子氏の方を「言葉によるパワハラだ」と主張している。もし、この主張が、そのまま世間に受け入れられると、今後スポーツ界においては“指導する側の暴力”は“師弟関係”においてはOKという捉え方が通用することになり、逆に、それを咎めた場合は“権力によるパワハラ”という観方が通用してしまうことになる。本当に、それで良いのだろうか。確かに、スポーツ界におけるピラミッド構造は良くない。公平・透明な世界が望ましい。ただ“愛情のある暴力”と“指導に名を借りた暴力”の違いをどこで見極めるのだろう。最近、特に「言葉」に対して、ちょっとした言い方でも「許さない」的な傾向が、“弱い者”の方にあるような気もする。それが本当に“正しい世界”と言えるのだろうか。
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