厳密に言えば「新型コロナ」と「ペスト」は同一ではないが、運命学的な見地で言えば“同類感染症”である。そこで、現在のような状況に陥った時、もっとも重視すべきは「ペストの歴史」なのだ。ペストというのは“ネズミによる感染症”らしいが、過去の歴史を調べると、驚くほどの猛威を振るっている。私は以前、中世期におけるペストの流行が、あのノストラダムスという予言者を登場させたと述べた。元々は医師であった彼だが、1534年、自分の妻や子供がペストに掛かった時、その病を自らの手で救うことができなかった。その結果、医学の“無力さ”を感じて、占星学や魔術の研究にのめり込んだのだ。ところが、そのノストラダムスの時代のペストの流行は、現代から振り返ると、それほど“大流行”というほどでもなかった。歴史上の記述には“大流行の年”とは記載されていないからだ。史上、もっとも有名なのは1347年~1353年にかけての大流行で、ヨーロッパ全人口の三分の一が死亡した、とも言われている。つまり、この時期2000万人以上がペストで亡くなっているのだ。もっと、昔からペストはあった。紀元前の古代エジプトの時代に“石切り場”で“死の感染症”が蔓延し、その石切り場すべてが封印され、中にいる全員の「死」を待った、という記録がある。その後、紀元541年の東ローマ帝国の時代にも発生し、さらに翌年には西ローマ帝国まで伝播し、その五年後にはイギリス諸島にも蔓延したという。イギリスにはしばしば“ペストに悩まされた時代”があって、1592年~1594年の間も流行し、さらに1664年~1665年のロンドンでも大流行した。この時、死者は7万人に達したという。一方、中国では1334年に杭州で流行したのがもっとも早く、その後、1855年には雲南省で流行し、1894年には広州と香港で大流行した。この時の死者は8万人とも10万人とも言われる。このように見て来ると、感染症による死者の拡大は昔も今も変わっていないのだ。そうして、感染症が大流行することによって、世界の歴史は大きく塗り替えられてきた。「征服の歴史」から「防衛の歴史」へと舵を切るのだ。こうして、神は、人間たちに“初心に戻る”よう強制する。
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