私は“会社勤め”という形で高給を得たことがないので感じたことはないが、高給を得ている会社員の人達の多くが、何とか“節税”出来ないものか考えがちである。そこで近年大きく浮上してきたのが「ワンルームマンション投資」だ。都心の新築物件は、たとえワンルームと言えども2000万円~3000万円はざらであって、中には4000万円、5000万円の高級物件すらある。地方出身の若者にとって、そういう都心の物件に暮らして、都心のビル内にある上場企業に通勤することは、或る意味で“成功への階段”に繋がる。けれども、最初からそういうマンションを購入して暮らすことは出来ない。余程の大金持ちの子息なら別だが、通常は賃貸物件で適度なところを捜すことになる。では、そういうマンションの持ち主はどういう人達なのかというと、実はその多くは会社員である。既に自宅を所有している会社員なのだ。例えば都内に実家があって、自宅から通勤している上場企業の会社員。或いはすでに結婚してマイホームも所有しながら、余裕資金を供えている会社員。そういう人達が続々と「ワンルームマンション」を買っていた。もちろん、それは自分が暮す目的ではなくて、投資&節税のためである。特に“節税効果”は大きいので、いったん経験すると病みつきになる。こういう人達に対しては金融機関も喜んで資金を融資する。こうして、いつの間にか二つも三つもの物件を所有していくサラリーマン投資家も多い。但し、それが上手く行くのは、そのマンションに入居してくれる会社員の方が居ればこそである。もし、急に入居者が居なくなれば、自分が暮すこともないワンルーム価格の借金だけを抱えることになる。実は、一流企業の多くが「リモートワーク」に転換し始めたことによって、本来ならそこに住まうはずだった地方出身の若者たちが、出社しなくてもOKに変わりつつある。一気に変わりだしたことで、都心のワンルームに“空き”が出始めたのだ。そうなると家賃自体も徐々に低下してくる。これまでは“家賃上昇”も伴うことで、高級物件でも買い手がついたのだが、これからはそうはいかなくなりそうなのだ。投資も節税も、一気に“雲行き”が怪しくなってきた。手放す物件を“安く買い叩く”のは中国人投資家である。もしかすると、数年後にはワンルーム物件の多くが中国人投資家所有となっているかもしれない。
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