現代は「シェアハウス」のような生活形態もあるので、一概に「一つ屋根の下」だから、家族であるとは限らない。けれども古今東西、一つ屋根の下に集うのは基本的には「家族」もしくは「家族のような人たち」と相場が決まっている。ところが近年、この「一つ屋根の下」で暮らす者たちの間で“殺人事件”とか“殺人未遂事件”が起きるケースが多い。4月2日に相模原市で起きた殺人未遂事件、兄(22歳)が就寝中の弟(20歳)をバールで滅多打ちにして殺そうとした出来事も、そういう家族間で起きた“怨恨による殺人未遂”の一つだった。さいわい弟はすぐに気づき、殴られながらも逃走し、隣家に逃げ込んだので、一命をとりとめた。事件当時、その家には兄弟二人しかいなかった。実は父親と3人暮らしだったのだが、その夜は父親が居なかったのだ。つまり、家の中では二人きりだったので、もし、すぐ目覚めなければ、弟は実兄に殺されていたに違いない。その動機は、日頃から弟に“バカにされていた”ことで恨みを抱いての犯行のようである。確かに、世の中には“合わない家族”というものが存在する。親子間の場合もあれば、夫婦間の場合もあれば、兄弟間の場合もある。この中で、夫婦間の場合には、どうしても合わなければ「別居・離婚」をすれば良い。親子間の場合には、或る程度の年齢になれば、別々に暮らすような形を採れば良い。兄弟間の場合も、出来れば別々に暮らすような形が望ましい。ただ今の日本では「親子の縁」や「兄弟の縁」は法律的に“切る”のは中々に難しい。したがって、法律上はともかく、実質的に離れて暮らし“縁を切る”形を採れば、ぶつかり合わずに済む。ところが、現代は就職事情とか、経済事情とかが絡んで、必ずしも「犬猿の仲」だからと言って“別々に暮らせる”とは限らない。そういう場合に問題が発生しやすい。おそらく今回の事件も、当事者同士は「合わない」ことがわかっていて、本当は別々に暮らせれば良かったのだが、それが出来ない状態の中で悶々とし起こった事件なのに違いない。今から3000年以上前に編纂された『易経』には「火沢暌」という“易卦”が含まれている。これは兄弟ではなく姉妹に関してだが、個性の異なる二人は一緒に居れば“反目しあって”お互いに傷つけ合うばかりだが、別々に暮らせば“それぞれの個性”を活かせて活躍することが出来る…と教えている。多少、経済的には難しくても、その方が互いを活かせるなら、そういう道を歩むことが良いのだと3000年前から暗示されているのだ。
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