今年3月に自殺した松山市を拠点とする“農業アイドル”「愛の葉ガールズ」の大本萌景(ほのか)さん・享年16歳のご遺族が、娘が自殺したのは所属事務所社長のパワハラが原因として9200万円の訴訟を起こした。ご遺族は母親と実姉で父親はいない。萌景さんはシングルマザーの家庭で育ったと思われる。彼女は「愛の葉ガールズ」の中では“看板”であり、もっとも人気と需要があった。“パワハラ自殺”として訴訟を起こされた事務所社長は、反論会見で自殺前日に「辞めるなら1億円払え」といった事実はないとしている。ご遺族は金銭を得るのが目的ではなく、真実を知りたい気持ちが強いと訴えている。近年、アイドルが次々と誕生しては消えていく。ご当地アイドルも含めると、現在、何千人のアイドルが存在しているのか、誰も把握できないのではないだろうか。そのほとんどは10代前半から20代前半である。それは青春の“ど真ん中”ともいえる年齢で、夢多き時代であり“過酷な労働”の年齢ではない。けれども「アイドル」という名のもとに無数の“ブラックな超過勤務”が行われ続けている。本来なら中学生や高校生として学業を優先しなければならない年齢だ。ところが、元々アイドルに憧れて働き出している少女たちには過酷な労働も、“トップアイドルへのステップ”と説き伏せることが出来る。拒否すれば、変わりはいくらでもいる。したがって、多くの場合には“この事件”と似たような状況があっても、表に出て来ない。“トップアイドル”になりたいからだ。日本のアイドルは諸外国と違って“芸能としての完成度”は求められない。むしろ、一緒に“育てていく悦び”をファンは自認している。だから、どんどん“低年齢化”していくのだ。そして、稀にその中から“金の卵”が生まれて何億とか何十億とかを稼ぎ出す。ここに問題の根深さがある。何十億も稼いでくれるなら、そのための多少の犠牲は“仕方がない”という風潮が出て来るのだ。親も財産をつぎ込み、アイドルを抱える事務所も財産をつぎ込む。10代半ばは、もっとも精神的に“不安定な年頃”である。そして傷つきやすい。親の顔を視て、社長の顔を視て、自らの心身の不調と闘っている。せめて中高生の仕事時間は何時間以内と規制をかけないと、このような悲劇は無くならない。
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