人生において一見“重要”ではなさそうなのに、意外にも重要な役割を果たしているのが「人気」と呼ばれる不可思議なものだ。もちろん「人気稼業」と呼ばれる職種においては、これを切り離して職業評価は出来ない。そういう意味では最近「本の売れ筋ランキング」で1位を独走しているこの人は、間違いなく人気者なのに違いない。けれども、昔からそうだっただろうか。いや、昔は「嫌いな女子アナ」でトップを独走していたはずだ。特に女性達からは猛バッシングを受けていた一時期があった。それが現在では、その女性達からの支持が急上昇に変っているというのだ。フリーアナウンサー田中みな実氏のことである。アナウンサーを「人気稼業」の枠に入れて良いかどうかにも多少問題はあるが、現代の日本における“アナウンサー”という職種が「技術職」に分類できないことは事実だろう。この人は事実上、アナウンサーというよりも現在では“タレント”として受け入れられている。ドラマにも出演して「女優」の顔も持つようになったのだから、そう思われる方が自然かもしれない。元々、彼女が知名度を上げたのはバライティ番組での“ぶりっこキャラ”だった。アナウンサーとは思えないタレント性を最初から持っていた。けれども、そのことがTBS所属アナウンサーとしての“品格”を汚しているかのように受け止めた人達もいた。その極端な“ぶりっこ”振りが女性達の反発を食らった。こうして彼女はあっという間に“全国区”となったのだが、その後は急速に「嫌いな女子アナ」にされてしまった。やがて恋愛をし、その相手が“芸人”だったこともあり、より反発が強まった。けれども結果的に恋愛は破局し、そのこと自体もニュースとして全国に流れた。やがて彼女はTBSを辞め、フリーとなった。その結果、彼女の個性が“アナウンサー”としての枠に縛られない形で、徐々に活かされていった。彼女が女性達の共感を得始めたのは、本音をストレートに語るようになったからだ。「30超えて独身で、自分のためにお金使って何が悪いんですか」「結婚して幸せになりたいと思わないかと、訊くこと自体が差別的」こういった本音でのストレートな物言いが、共感を呼び始めたのだ。実は、彼女の初めての写真集の発売は12月13日でまだまだ先なのだ。それなのに早くから告知・宣伝をし、その結果として予約が殺到「売れ筋ランキング」1位となっている。彼女の人生は「人気」というものが、いかにあやふやなもので“信用できないか”をよく表わしている。もし、彼女が「人気」というものに振り回されて悲観し、絶望し、自信を失い、アナウンサーを辞めていたらどうだっただろう。けれども彼女は逞しかった。組織を離れて、一人で“生きる”道を選んだ。そうすることで、自分の“個性”や“良さ”を解かってくれる人たちが出てくるに違いないと信じたのだ。自分自身の可能性を信じて、前に突き進んだことが結果的に“本音を話してくれる女性”として、同性たちからの支持を集めたのだ。
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