ここ数年、日本の世論が“一方に傾き過ぎる”ことに危機感を感じている。例えば、昨日、宮迫博之氏や田村亮氏が「謝罪会見」を開いた。その中で会社幹部のパワハラが暴露された。そうすると、今度は世論の非難がいっせいに“そっち”の方に向く。これまでスポーツ選手の「謝罪会見」などでも時折見られた光景だ。どうして、そういうことになるのかというと「誰かが悪い」という“収まりどころ”が欲しいからだ。つまり「善い人」「悪い人」或いは「善いこと」「悪いこと」をハッキリさせ、謝らせなければ気が済まないからだ。徹底的に非難し、謝らせ、その地位や名誉を剥奪する。或いは人気や収入を低落させる。日本社会が、徐々にそういう“蹴落とし社会”に変わりつつある。実際、そういう形で何人もの著名人たちが“表舞台”から消えた。日本人は他の人種や民族に比べ、潔癖感が強い。世の中が「ネット社会」に変わって、ニュースは一瞬で日本中を駆け巡る。それでなくても“世論操作”がされやすい時代になっている。周りの誰もが「あの人が悪い」と言えば、自分自身はそのことをよく知らなくても、そうなのかなということで一緒になって「あの人は悪い」と言い出す。潔癖感が強くて“流されやすい”日本人の性質が、ネット社会になってますます「善い・悪い」に敏感になっている。もし、心の中に余裕があれば、たとえ“悪い部分”があっても、ちょっとなら“もうダメだよ”と許してあげられるのだが、そういう「余裕」は今の日本人にはない。経済的にひっ迫する生活をしている人が多くなって、ヒトやモノの“落ち度”を許せるだけの寛容さが奪われてしまっている。ハッキリ言うと、お金に余裕のない日本人は心にも余裕がなくなりつつある。だから、マスコミで叩かれる誰かを犠牲にして、そのストレスを発散しようとする。その根底には「私たちは朝から晩まで真面目に働き、それでもゆとりのない生活をしているのに…」という“叫び”が隠れている。もう一つ「善い人」「悪い人」を振り分けたがるのは、漫画の影響もある。活字離れの若者たちは「漫画」中心に育っている。漫画はその構成上、どうしても「善い人」「悪い人」をハッキリ分けて描かなければならない。ストーリーも解かりやすく、子供達に共感性の得られる構図が必要なのだ。その結果、それらを読んで育っている人たちには、単純な「善し・悪し」と「好き・嫌い」しかない。そのどちらにも属さなくて良い部分というのが、生活の大部分を占めていることを理解できない。漫画の中でなら、嫌なものや悪いものは“切り捨てて”かまわないのだが、現実の世の中は、そういう中で“調和的に生きていく”ことが賢い大人の選択なのだ。
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