時々、どちらの言い分が正しいのか、判別が難しい対決がある。大阪地裁で争われている“医師法違反”もその一つで、医師免許がないのに“入れ墨”の施術をしたとして医師法違反に問われた“彫師の男性”が「タトゥーはアートだ!」と主張し、裁判で争っている。医師の免許無くして他人の皮膚に疵をつけることが犯罪だとする検察側に対し、表現の自由を侵害するものだとする弁護側が真正面から対決しているのだ。確かに、双方ともそれなりに筋は通っている。私には何となく双方の“捉え方の違い”が問題を複雑にしていると思えてきた。つまり検察側は「入れ墨」と呼び、弁護側は「タトゥー」と呼んでいるのだ。検察側には、日本の“やくざ”に直結するイメージを伝統的に持っている。だから「入れ墨」なのだ。それに対して弁護側は、西洋の“ロック・アート”としてのイメージが強く、だから、あくまでも芸術の一種、自己主張の一種なのだ。確かに、近年「タトゥー」の国際的なコンテストとかイベントは多く、世界的に“ファッションとしてのタトゥー”が受け入れられつつあるのは事実だ。もっとも日本では中高年を中心に「入れ墨」への拒絶意識は強い。私が幼い頃暮らした街では、街の銭湯に“入れ墨を入れた男たち”がいつも入浴していた。あの頃は、あの街だけなのかもしれないが、銭湯に入っている男性の半分弱は“彫り物”を入れていた。だから、それが自然なことなのだと思い、別段、不思議にも思わなかった。そして、怖くもなかった。確か“やくざ映画”も多くて、そのほとんどが“彫り物”を見せつける。今ならNGとなるシーンが無数にあった。そういう銭湯で育ったので、違和感を持たなかった私は「入れ墨」に対して寛容である。ただ見苦しいほど入れるのは感心できない。子供の“お絵かき”のようなタトゥーも何となく違和感がある。どうせ入れるのであれば“美しい図柄”を配置を考えて、それこそ芸術的に入れてほしいものだ。
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