3月19日の未明に半導体大手ルネサスエレクトロニクスの那須工場の「N3棟」1階のクリーンルームから出火、600台ある製造装置の内の11台を損傷して、5時間半後に鎮火した。ルネサスと言えば、日本を代表する半導体企業である。特に自動車関連の半導体では世界の三番目に位置する巨大企業なのだ。その自動車関連の半導体が、現在、供給不足に陥っている。したがってルネサスも「猫の手も借りたいような忙しさ」の中で起こった火災なのだ。確かアメリカの車載用半導体大手も、欧州の車載用半導体大手も、稀に見る寒波に襲われ工場が一部停止していて、今回の火災で妙な形で“肩を並べて”しまったのがルネサスなのだ。今回の火災によって、それでなくても“供給不足”と言われていた車載用半導体は決定的な“供給遅れ”となって自動車産業に影響が出ることは確実となった。いま、世界的に引く手あまたの“半導体事業”で続々と新規参入があっても良さそうなのに、早急な“代替わり”が出来ない。実際にはわれわれが考えるほど単純構造でもないらしい。会社側の説明によれば、アノード電極側の配線が電流が流れている際に、何らかの理由で断線し発火した…ということになっている。つまり“断線”のところが謎なのである。半導体の「心臓部」とも呼ばれるところから出火しているだけに、或る種の疑問が生じてしまう。人技的に“断線した”可能性はないのか。最先端技術は、とかく「敵」や「スパイ」の暗躍しやすい領域だからだ。そうでなかったとしても、未来に役立つと言われる“最先端技術”だが、ちょっとした寒波や火災で完全ストップして立ち往生してしまう。「未来に生きる」ことが、必ずしも快適ではないよう感じられるのは、私だけなのであろうか。
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