久しぶりにTVで「ねむの木学園」の宮城まり子氏が出ていた。もう89歳となったようだが、若々しい声で「新たな映画を撮りたい」と意欲的だった。そのTVで「ねむの木学園」が“日本初”の肢体不自由児の学園であることを知った。“日本初”という部分を私は知らなかったのだ。私財をなげうって、肢体不自由児と向き合い続けた彼女の功績は立派以外の何物でもない。実は私は20代の一時期、“障害児”を対象としたボランティア活動をしていた。そのサークル名が「ねむの木の会(?)」だった。だから最初、私はその活動が“宮城まり子と関係があるのか”と思ったくらいである。実際には“肢体不自由児”ではなく“精神薄弱児”を対象としたボランティア活動の会だった。今、思うと、あまりボランティアに向いていない私が、よく何年もの間続けられたと思う。一時的には「青少年北海道ボランティア連盟理事」にまでなっていた。その後、演劇のサークルとか、小説のサークルにも入ったが、仲間的な交流が一番活発だったのは「ねむの木の会」だった。そう“仲間としての友達”を初めて得た。というか社会に出て“初めての友達”が彼らだった。少なくとも、私の中ではそうだった。そう思って一時期を過ごした。ところが、そのメンバーの中でも、もっとも仲が良かった人物の一人と、十数年経って全然別の何かで再会した時、彼はなぜか私を無視した。初対面であるかのようにふるまったのだ。本当に忘れているのではないかと、私が昔を持ち出しても、明らかに“無視”された。早くも“白髪交じり”になっていて、その風貌の変化にも驚いたが、何よりも“心の変化”に戸惑ってしまった。仲間数人と、朝まで彼の部屋で過ごしたことさえあった。忘れるわけがないのだ。私は正直ショックで、もう“昔の仲間に会うのはよそう”と思ったくらいだ。あれから30年近くが経った。あの時、既に“白髪交じり”だった彼は、もう会っても“本当にわからなくなっている”ような気もする。
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