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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


「妖しさ」と「怪しさ」が入り混じった世界⁉


日本の初期ミステリー文学の巨匠として誰もが知っている「江戸川乱歩」その彼の資料館として知られていた場所の一つが2021年10月に火災に遭って休館となっている「江戸川乱歩館~鳥羽みなとまち文学館~」だ。今年4月の再開を目指して、現在は再建が進められているが、新たに見つかった書簡資料などが加わると伝えられた。地方の文学館で、全国的にそれほど有名とも思えないのだが、なんと2019年には5000人もの人たちが同館を見学に訪れている。それだけ「江戸川乱歩」その人に興味を抱く人たちが多いということかもしれない。鳥羽市には乱歩本人は一年余りほどしか滞在していなかったらしいが、そこで妻と出逢い、生涯の友となる岩田準一氏とも出逢っている。その岩田氏の邸宅だった所を改造したのが、この文学館なのだ。したがってプライベート的な書簡も多い。江戸川乱歩の作品は『少年探偵団』とか『怪人二十面相』という形で全国の学校や図書館に今も並んでいる。子供の頃に読んだ本の記憶として残されている場合が多い。だからこそ年間5000人もの人が訪れていたのだ。私自身はどちらかというと大人になってから興味を持った作家だった。それも短編の“妖しい小説”の方が記憶に残っている。彼の作品には“妖しい部分”と“怪しい部分”の両方が混在していて、それが或る種のドキドキ感をもたらす。私が惹きつけられたのは『屋根裏の散歩者』や『人間椅子』や『芋虫』などの作品だ。文字通り、屋根裏の散歩者とは“覗き魔”のことで、屋根裏の“木の節穴”から下の部屋に暮らす住人を覗き見る……という“危ない”小説なのだ。『人間椅子』も、椅子職人が実際にソファの中に入り込んで、座り込む人物を受け止める……という“危ない”小説だ。『芋虫』も、戦争で両手足を失った人物が、文字通り“芋虫”のような状態になり、妻から“介護”と“虐待”の中間のような状態で世話されながら“芋虫的な愛”を貫く物語で、この作品に関しては“発禁”になったともいわれている。とにかく、江戸川乱歩という人は、人間心理の追及を“妖しさ”と共に小説化していく手法に優れていた。人間がロボットよりも魅力的なのは、公明正大な部分だけでなく、どっちに転ぶかわからないような刹那的な心情を備えている部分にある。
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