個人でもそうだが、企業でも“何か”をきっかけとして、その業態を「大きく入れ替えていく」時がある。飲食店など“コロナ騒動”で窮地に追い込まれた業種は多い。特にチェーン店として全国展開していたようなところほど、生半可な“救済策”では生き残れない。そこでどうするかというと「思い切って業態転換するしかない」ということになる。昨日、大手居酒屋チェーンを展開する「鳥貴族」が、ハンバーガー事業に参入していくことを宣言した。これまでの店舗を「チキンバーガー専門店」へと業態転換していくというのだ。ファーストフードの市場規模は大きく、感染症のリスクも少なく、将来的には海外展開も見込めるところからの決断であるらしい。単なる“一時しのぎ”としての転換ではなく、将来を見据えて舵を切ったところは注目に値する。もっとも、居酒屋ファンが、そのままハンバーガーファンに切り替わるのかは疑問符が付く。それでも、元々場所の良いところに出店してある居酒屋は、ファーストフード店に切り替えやすいのは確かだ。それに「キッチンバーガー」に特化しているところも「鳥貴族」としてのブランドを維持できる長所だ。既に昨年10月、居酒屋チェーン大手の「ワタミ」が、これまでの「居酒屋の和民」から「焼き肉の和民」へと“衣替え”をしている。密着型となる居酒屋よりも、多少は距離を取れる焼き肉店の方が感染症に強いという考え方だ。ワタミの社長は「失敗したなら自分が責任を取れば良い」と背水の陣を敷いている。確かに、すでに飽和状態となっている“居酒屋”店舗で争うよりも、一部を業態転換して“将来性を問う”方が賢いやり方と言える。それに、感心するのは「従業員の雇用を守りたい」という発想だった。確かに、似たような業態であれば、これまでの従業員を教育なしに即戦力として雇用できる。彼らの生活も守ることが出来る。敏腕経営者らしい発想だ。一時期、ワタミは従業員から“ブラック企業”的な告発が相次いだ。実態は解からないが、従業員の生活を守ろうとする姿に、もう一つの側面を見たような気がした。
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