私が24歳の頃、直接お逢いした手相家に門脇尚平氏がいる。彼は元々防衛庁の出身で、その所作にはどこか軍人のような部分があった。当時、私が生活していた室蘭にイベントで訪れた時、手紙のやり取りがあった私を、自分が泊まっているホテルへと招待してくれたのだ。彼は大量の写真を持って来ていて、さまざまな有名人たちと一緒に写っているところや、手相鑑定している写真を私に見せてくれた。その中には、当時まだ何かの大臣だった中曽根康弘氏とのツーショットもあった。防衛庁の出身ということもあって、政財界の人物多数を“雑誌の取材”という形で手相鑑定しているのが彼の強みであった。私がお願いしたわけでもないのに、私のことを占い、写真まで写して後から送ってくれた。帰り際、深々と頭を下げられた。私も慌てて頭を下げた。中曽根康弘氏はやがて総理大臣になった。門脇尚平氏の手相書には歴代首相の手型が掲載されている。その中で、もっとも「幸運な手相」と言えるのが、中曽根康弘氏の手相だった。次は佐藤栄作氏だった。確かに、この二人が首相になっていた時、日本国は繁栄していた。特に中曽根氏が首相だった時代、日本はバブル期に入って経済面で異様な発展を遂げた。彼が5年弱保った首相の座を遠のいて後、バブルは終焉を迎える。企業でもそうだが、社長の「運」は、そのままその企業自体の盛衰につながる。中曽根氏の手相は、太陽線が太陰丘(手首に接する小指寄り)からカーブを描いて太陽丘(薬指下)に上がり、もう一本は火星丘(感情線下の小指寄り)から上昇していた。2本のクッキリとした太陽線には勢いがあった。この2本の太陽線こそ、日本に「バブル」と呼ばれた繁栄期をもたらしたのだった。そこへ行くと田中角栄氏の手相は“若い時”に幸運が集中していた。頭脳線は短く、50代後半以降に生気がなかった。門脇氏の手相書には政治家だけでなく、芸能人の手相も多数掲載されていた。そういう意味では大変に興味深いのだが、肝心の手相そのものに対する解説はワンパターンだった。何十年経っても、新たな発見とか研究成果というものがなかった。有名な“キロの観方”を一歩も出るものではなかった。私を占星学のルル・ラブア氏に引き合わせたい…と言っていたが、既に二人とも亡くなっている。
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