海外のニュースというのは、その時々の日本国内の状況いかんで“素通りされてしまう”ケースもしばしば生じる。おそらく簡単には伝えられたのだろうが、私の記憶には存在していなかった。ニュージーランドで2017年12月に誕生した首相が38歳の独身女性だったという事実だ。もっとも、独身とはいうものの長く“事実婚状態”を続けていたらしいので、そういう意味でニュースとして“独身”を強調しないのは当然だった。さらに彼女は昨年6月、現役首相のまま“出産”までやってのけていた。おそらく日本なら、マスコミや世間が、事実婚とはいえ未入籍のまま“妊娠・出産する”ことに批判的な論調が目立つのではないだろうか。或いはそれ以前に、首相になってすぐ“妊娠・出産”という日々を送ること自体に疑問や批判が飛び出すことだろう。そういう点では、ニュージーランドの国民は中々に寛容である。彼女が7年前から同棲しているパートナーはTVの人気司会者だった。けれども現役首相が出産することになって潔く「専業主夫」へと転向した。多分、出産が近づいた時に2人で話し合い、そういうことに決まったようだ。ただ「子供が産まれる」という段階となって、未入籍はややこしくなる。そこでマスコミは首相に対して「プロポーズはしないのか」と問いただしている。それに対しての彼女の答えは、いかにも一国を率いる首相らしい。「いいえ、私からはしません。プロポーズすべきかどうか彼に苦しんでもらいたいので…」と笑いながら答えたのだ。何んとも余裕のある女性首相らしい答えではないか。日本で、こういう風なユーモアと自信に満ちた言葉で返せる女性がどれだけいるだろう。おそらく彼女は外交問題などでも同じような対応が可能なのに違いない。だからこそ国民も、彼女の妊娠・出産を暖かく受け入れたのだ。そのアーダーン首相だが、何日か前に公式の場で左手中指にダイヤモンドの指輪をはめて出席したことで、今年4月の休暇中に“正式婚約”を交わしたとの報道が出ている。なぜ一気に“入籍”までしてしまわないのか、われわれ日本人には理解に苦しむが、一国の首相でもあるので手続き上の問題などあるのかもしれない。人気のTV司会者から「専業主夫」に変わった男性は、自らの仕事を捨てても“愛”と“子供”を択んだのだ。
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