不動産の仲介業者であるキャメロン・ノウンドル氏が、投稿アプリで紹介した“物件”動画が2100万回も再生されて話題となっている。おそらく「NY市史上最悪のアパート‼」というタイトルが沢山の再生回数を導いたので、動画そのものはそんなに特別なものではない。普通にアパートのドアを開けて中に入り、室内を簡単に点検する動画で、おそらく東京であれば家賃2.5万円~3万円程度の部屋で、風呂もトイレも暖房もない。小さなクローゼットと冷蔵庫が付いているだけで、窓も小さい細長い3畳間くらいの部屋だ。それでありながら家賃は1650$(17万3000円)もする。ウエストビレッジ地区内にあるそうだが、オーナーの気分を害さないよう正確な住居は明かしていない。私には何となくアンフェアーな気がした。紹介するのであれば、きちんと住居なども明かした方が良いと思うし、もし、不動産仲介業として「許せない」と思うのなら、その部分を指摘すれば良い。おそらく「高すぎる家賃」だと思うが、それでいて「それがまかり通っているのが今のニューヨークだ」と言いたいのかもしれない。「史上最悪」という表現が適切かどうかは知らないが、とにかく現在のニューヨークやサンフランシスコの家賃はべらぼうに高い。面積比では香港がいちばんだそうだが、その香港では次々と台湾に移住する人が続出している。イギリスも香港住民に対して“手を差し伸べている”が、ロンドンも家賃の高さではトップクラスである。20年くらい前には「世界一」などと言われた東京だが、現在では香港、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドンなどと比べ安くなった。それでも地方から東京に出て独り暮らしをしている人にとっては、東京の家賃はまだまだ高い。ニューヨークほどではないとしても極端に狭い室内で「おうち時間を充実させて…」などと言われても、土台が“心休まる空間”がない、というのが実態ではないだろうか。運命学的な観点からいうと、ほんとうに「寝に帰るだけ…」の人は別にして、狭い室内の中でじっと閉じこもっているのは精神衛生上良くない。それに「心も狭くなる」のだ。総じて若い人たちの中に、狭量で“ちょっとした過ち”も許せないと感じる人が多くなっているようだが、それは“部屋の狭さ”も大いに関係している。“狭い空間”の中に長時間籠っていると、人は無意識に“暗い未来”を想像しがちなのだ。極めて稀なケースを除いて“安易なアメリカンドリーム”は存在しないのだ。
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