あまり大きく報道されていないが、7月3日に一人の女性が香港で命を絶った。今もって収まらない「逃亡犯条例」改正案を巡って続いている香港市民と政府の対立。その抗議活動の証しとして28歳の女性は遺書を残して命を絶った。その遺書には「政府は私たちの訴えに応えない。無力感でうちひしがれる」と記されていた。彼女が初めてではない。同じような意図から6月15日に35歳の男性が自殺。6月29日に21歳の女性が自殺。6月30日に29歳の女性が自殺と続いているのだ。マスコミは市民に“後追いをしないよう”呼びかけている。ただ実際のところ、解決の糸口はまったく見えていない。政府も市民も引き下がる気配がない。「抗議デモ」そのものに対する取り締まりも、徐々に厳しくなっている。これに対して「中国」に条件付きで「香港」を引き渡した英国は、香港市民から“自由を奪う”のは条件違反だと中国に警告している。英国外相自らが、今のままなら英国も“奥の手を出す”とまで述べている。それに対して中国政府も黙ってはいない。もはや中国の国土なのだから「内政干渉はするな」と突き放す。双方譲らず、妥協案が見いだせずにいるのが現状なのだ。私は昔、初めて香港に行った時のことを思い出す。あれはもう30年近くも前のことになる。正直、私は香港が、あんなに都会で華やかな街だと知らなかった。何もかもが新鮮に見えた。日本の山口百恵や中森明菜のCDを売っている同じ店に、共産党・毛沢東主席のCDも売られていた。そのすぐ裏にはブランドショップのビルが乱立し、高額商品が並び、何も買えず、うろたえたのを昨日のように思い出す。あの時の香港には“勢い”があった。あれから4回ほど香港には行ったが、最初の時に受けた衝撃のようなものは感じたことがない。だんだん“埃っぽくて騒々しい街”に印象が変わった。そして、どこかのんびりとして最先端のホテル輝くマカオの方が好きになった。世界は今、さまざまな場所で“小競り合い”が続いている。民主化を叫ぶ英国だって、未だにEU離脱でもめている。日本も韓国ともめているし、アメリカや中国はあらゆる国や地域でもめている。一時期「世界平和」という言葉が文字通りちらついていたが、今や誰もが「幻想だったのか」と怪しんでいる。妥協は「世界平和」を実現するだろうか。それとも、ぶつかり合うそれぞれの主張の中で“犠牲者”は今後も増えていくのだろうか。
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