アメリカ人には時々、ユニークな行動を真顔でとる人がいる。カンザス州に暮らすデビット・オストロム氏もそういう一人だ。彼は今、妻から“離婚訴訟”を起こされ、その内容にひどく憤慨していた。そこで彼は真摯に裁判所に“難しい試み”の申請許可を願い出ていた。彼によれば、妻による“離婚訴訟”によって「自分の人生は台無しにされた」なんとしてでも、この屈辱は晴らさねばならない。そこで一番良い解決方法がある。決闘をするのだ。決闘によって、正々堂々決着をつけようじゃないか。ここは昔から、血統によって“正邪”を付けてきた街だ。まあ、確かに昔の“西部劇”では、そういうような決着のつけ方もあったとは思うが…。こうして、彼は裁判所に対して正式に「決闘による離婚」を許可してほしいと願い出ていたのだ。しかも、この決闘、銃口を向け合うものではなかった。なぜか彼は“日本刀での決闘”を望んだのだった。日本の漫画の読みすぎなのか。彼は真剣だった。彼は、今回の“離婚劇”は妻側の弁護士による“入れ知恵”に違いないと踏んでいて、だから、妻の魂と、その弁護士の魂とを、真っ二つに分つ必要があった。そのためにはどうしても日本刀なのだ。だから、それを購入・輸送するのに必要な12週間だけ待ってほしい。そういう形での「決闘許可」を我が州の裁判所が下してほしい。誰が、どう考えてもおかしな要求なのだが、本人は真剣そのものだった。やがて、彼は、あることに気が付く。もし、この決闘によって死者が出た場合、裁判の本質が歪められるのではないか。元々、この“離婚訴訟”そのものの“不当さ”を訴えたいのだ。けれども、死者が出てしまった場合、その本質は歪められ、理解してもらえなくなる可能性が強い。やっぱり、決闘の申請は取り下げよう。けれども、今のところ、裁判所は「審議中」として、彼からの“申請取り下げ”も認めていない。ここで興味深いのは、彼が買い求めた日本刀だが、ただ単に“二刀”だけを求めたのではない。“脇差”と呼ばれる“短い刀”まで求めていたのだ。普通の日本人なら、東映映画でもない限り日本刀で決闘はしないが、その場合でも“脇差”は差さない。左右に刀を差したら、重すぎて素早く動けない。大体、袴でも穿かないと、おかしなスタイルになる。どう考えても、裁判所はわざと決定を遅らせているとしか思えない。
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