毎日、そこかしこに情報があふれている。無意識にわれわれは、その情報の多くを吸収しながら生きている。それが「時代について行く」という“生き方”である。けれども、本当に、それが“幸福な生き方”なのかどうかは誰にも分らない。もしかしたら、或る程度の“大人”になったなら、そういう“新しい情報”など不要かもしれないのだ。“新しい情報”を失うことで、多少は不便な時があるかもしれないが、その9割までは“余分な情報”なのだから、実際の生活には必要がない。少なくとも、知らずとも生きては行ける。例えば「北朝鮮のサイバー攻撃能力はCIAに匹敵できるほどのものです」とアメリカの司令官が証言していた…という知識。別に知らなくても何ら生活には支障がない。それどころか、知っていることで不安感が増大する。ストレスが一つ増えるのかもしれない。だから、知らない方が“幸福かもしれない”のだ。それなのに、これでもか、これでもか、というほどに情報は流れて来る。それらの情報を共有していることで“社会が成り立っている”部分も多少はある。われわれが普通に生活を営むうえで、知っておかなければならない情報というものも確かにある。例えば「ごみの収集日が変わった」などという生活情報は知っておいた方が良い。だから、どこまでが知っておくべきで、どこまでが知らなくて良いかは微妙で、職業などによっても違いが出て来る。ただ「時代について行く」という生き方だけが、われわれの選択肢ではない。時には“時代”に取り残されて、はるか前方に進んでいった“時代”を見送りながら、のんびり好きなことだけ考えながらハンモックに揺られている。そういう人たちが多くなったなら、世の中の“歯車”も、もっとゆっくり回転し始めるようになるのだろうか。
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