昨日、一昨日と二日間にわたって「スーパームーン」と呼ばれる“大きな満月”が夜空を彩った。われわれは時として無意識に「お月さま」という表現を使う。本来なら「お」や「さま」は不要(「お金星さま」とは表現しない)なのだが、太陽に対して「お天道さま」という表現があるように、月に対してはもっと自然に「お月さま」と口にする。なぜなのだろう。それは多分「月」が、どこか人間的なものを感じさせる“何か”があるからなのだ。われわれは本能的に、その時々の気持を反映しながら「月」を見る。だから、同じ「月」なはずなのに、その時々で見え方が異なる。例えば昨日のスーパームーンは、いつもの月よりも14%くらい大きく見えるのだという。何となく…ではなくて、視界においては実際に大きいのだ。もちろん古代人は、それに気付いていた。“夜空の精密な観察者”であった古代人は、われわれよりもはるかに夜空を見上げる機会が多かった。また“天文官”として、星々の動きや輝きなどを記録する仕事の人たちもいた。古代においては“天文官”は同時に“占星術師”を兼ねていて、星々の動きから、未来を予測するのが常だった。そういう古代の占星術師でなくても、月の変化は判り易かった。“篝火(かがりび)”以外に、夜間の照明がなかった時代、月は太陽の“代わり”を果たして、“月灯り”を与えてくれていた。けれども、月の灯りはいつも同じではなく、その時々により“明るさ”が異なった。それは、月が“その形を変える”からだ。「満月」が一番明るく「三日月」の夜は暗くて「新月」には、月の姿がない。毎夜、その形を変える。時間によっても、その位置が異なった。さらに、同じ月なはずなのに、その“色合い”も変わって見える。白金色にも、暗白色にも、蒼白色にも、白桃色にも、黄土色にも、赤銅色にも見えることがある。まるで、乙女心のよう“七色”に変化するのだ。この惑星が「変化の星」でなくして何だろう。こうして、占星術上の月には「変化と移動」の意味が与えられた。その象徴ともいうべき「スーパームーン」は、我が国に「緊急事態宣言」をもたらした。文字通り、大きく変化していくべきことを「特別な月」で囁いたのだ。
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