人間の「姓名」というのは、時としてその人の人生を決める。その代表的な人物の一人が「フルーツしか食べない男」として知られる中野瑞樹氏だ。彼は自分の身体を“実験台”として、果物と人間との関係を研究している。2005年に“フルーツ研究家”として独立。2009年9月から“フルーツしか食べない男”となった。しかも、この人の徹底しているところは“水も飲まで生きて来た”ことだ。水分でさえも“フルーツから吸収”しようとする。実際、そういう生活を続けて、既に8年半が経過している。彼は実験のために“自らの生命を捧げる”と決めているそうで、おそらく死ぬまで“フルーツしか食べない男”で通すのだろう。或る意味で“立派な人生”だが、或る意味で“つまらない人生”でもある。何しろ、もう他の物は口に出来ないのだ。実際、このような形で8年間も生活してしまうと、一般食に戻すのは難しいかもしれない。身体が“受け付けない体質”に変わっているかもしれないからだ。そのせいか本人も、決して真似をしないで欲しい、と言っている。ただ彼の身体の変化から、“人間の身体”について、“健康と病気”に就いて、いくつかの重要な示唆が窺われる。彼は“フルーツのみ”の食生活に変わって、嗅覚、味覚、触覚が異様に敏感になった。臭いに敏感過ぎて、電車にはマスクをしていないと乗れないという。腎機能が通常の人より発達し始めた。骨密度が異様に高くなった。肌がすべすべになった。女性ホルモンが増えて体毛が抜けてしまった。腸内で窒素から、たんぱく質を作り出す菌が生まれた。これらの変化が生まれた。つまり、フルーツだけを食べ続けると「植物的な人間」に変わっていくのだ。そして彼の名は「中野瑞樹」だ。つまり「野原の中央で瑞々しく神聖な果実を実らせる樹木」と読解できる姓名だ。まさに「名は体を表す」という言葉があるが、その通りの人生を無意識に選択したのだ。必ずしも文字の画数は良くないが、先天運として与えられた「姓名」そのものに逆らうことなく人生を全うしようとしている。
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