ちょっと“危険な兆候”がみられる。小室哲哉氏の引退騒動以降、“世間”が「週刊文春」を“悪者扱い”し始めたことだ。実際には「文春」だけではないが、著名人の“不倫”ばかりを追いかけようとする週刊誌に対して「廃刊にすべき」という極論まで出始めている。確かに、不倫ばかりを追い求めているようなマスコミは批判されてしかるべきだが、一番の問題はそれに乗っかって“自分たちが取材する”という本来の役割を忘れて、後追いばかりしているTVワイドショーの番組作りにある。週刊誌よりもTVの方が世間への影響力ははるかに強い。TVが扱わず、一つの週刊誌だけが追及している事件などは、世間の“やり玉”に上がったことがない。大体が日本のマスコミは昔から一方向へと流れやすい。もっと“さまざまな観点”からの報道があっても良いと思うのだが、ほとんどの報道は“世間の目”を意識し、多くの人達の求める「正義」に準じる形での報道となる。だが、物事には必ずしも「正・邪」を計れない問題もある。ところが日本人は、とかく「白・黒」を付けなければ気のすまない人が多いので、結果的に誰かを「悪者」に仕立て上げなければ納得しないようなところがある。そういう日本人の性質が、報道の“多様性”を奪って、正しいか、正しくないか、だけを基準に著名人を追い詰めていく。時として、それは週刊誌そのものにも向けられて、編集長をつるし上げろとか、廃刊にまで追い込んでしまえ、という極論を振りかざす。結局、誰かを「悪者」にしなければ気が済まないのだ。誤解を恐れずに言えば、誰もが「正義」の使者的な部分と、秘めた「邪悪」な想いとを抱えながら生きている。時として、その「邪悪」な部分は、表面上の優しさや気配りとして表れる。「正義」として振る舞っていること自体が、陰険な裏切りである場合だってある。自分には“そういう部分はない”と思っている人たちは、自分に“目隠し”をしているのだ。
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