「貿易戦争」という言葉が一般化してきた。昨日、中国では“世界フォーラム”が開かれたが、その中で楊潔氏は「中国は貿易戦争を望まないが、恐れもしない」という表現で、アメリカとの対決姿勢を前面に打ち出した。もはや中国はトランプ大統領の“脅し”に屈したりしないのだ、と言いたかったのだろう。今年に入って、中国は外交面での亀裂が目立ち始めている。決して、アメリカだけともめているわけではない。今年に入って、英国のメイ首相は「一帯一路支持覚書」への署名を拒否した。どちらかと言えば、これまで中国の世界進出に好意的だった英国だが、ここに来て“放置できない”と感じ始めたようだ。もっと露わに中国に批判的なのはドイツで、ミュンヘン保障会議ではガブリエル外相が“西側の価値観とは異なる”として、もっとEUが主導する形で中国の暴走を止めるべきとの趣旨の発言をした。明らかにドイツは、東欧や中欧やアフリカへの中国の投資を“危険”とみなしているのだ。それは欧米型の“自由・民主・人権”が脅かされていく可能性を感じているからだ。最近はロシアに対しても似たようなものを感じていて、“欧米”と“中露”の対立構図としてとらえる観方が急浮上しつつある。昔、007の映画では“西側”と“東側”という対立構図で映画の舞台を設定していた。それが“ソ連”が崩壊し、東側諸国も崩れ出し、一時的には世界から“対立構図”が無くなったかのような時代があった。ところが、ここに来て“北朝鮮”が中国やロシアと“手を結ぶ構図”が生まれて来つつあることも手伝って、新たな“対立構図”というものが、何となく生まれつつある。日本はというと、あまり存在感はないのだが、東に位置しているが“西側”のメンバーということになる。つまり、北朝鮮、中国、ロシアにもっとも近い位置ながら、それらの国ではなくて欧米と“ほぼ同じ感覚の国”とみなされている。だから、イスラム組織が攻撃する時、日本人はどんなに“仏教国”だと叫んでも“西側諸国”として撃たれるのだ。中国は習近平政権が「一帯一路」を目玉政策として掲げて以来、それに沿う形で“歴史を作ろう”と躍起になっている。だから、どんどんアフリカにまで進出していくのだ。けれども、歴史を振り返れば解かるように自ら“歴史を作ろう”とした国は、やがて崩壊していく。歴史は創るものではなく、後になって結果的に「出来上がっていくもの」だから。
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