警視庁は東京オリンピックを前に「テロ防止」を呼びかけるポスターを作成した。浮世絵師・写楽の役者絵をモチーフとして「変だ!見逃すまい。テロ阻止!」などと書かれたポスター、チラシを作り、同時に都内200か所以上の大型モニターでも放映する。そのこと自体は大変に良いことだと私は思う。ただ、せっかく浮世絵をモチーフにするなら、もう少し一目で“それ”とわかるようなポスターにしてほしかった。“浮世絵”と言っても、実際には「眼」だけで、確かに気付くのは眼なのかもしれないが、この“眼だけ浮世絵”では、普通に歩いていて“それ”が目に留まったとしても、何のことなのか正直よくわからない。第一“浮世絵の眼”だとは、言われなければ気付かない。刑事の“鋭い眼”をポスター風に表現したものなのかと思ってしまう。せっかくなら、少なくとも浮世絵の顔全体くらいは表わさないと、浮世絵に見えない。それに、写楽にも失礼な気もする。本当は歌舞伎で“大見得を切っている姿”が「阻止する!」とストップをかける姿に符合するような気もするのだが…。それに、そういう感じのポスターの方が誰もが目に止めて、警視庁の“意気込み”も理解してくれる。特に外国人たちに注目されやすいことだろう。アイデアとして浮世絵の「眼」を使うこと自体は斬新で素晴らしいのに、外国人たちが誰もそこで一緒に写真を写そうと思わないポスターだとしたら残念である。この場合の文字は小さくて良いのだ。むしろ「なんだろう?」と近づいてきて読んでくれる方が良い。歌舞伎の姿だが胸には警視庁のマークが大きく入っているというのが、一番わかりやすい。最近のように、ドローン攻撃やサイバー攻撃やウイルス攻撃も可能な時代には、テロリストたちが“目立つ姿”や“解りやすい恰好”で歩くとは思えない。何を基準に「変だ!」と思えば良いのか、ポスターとは別に、そういう実質的な“要注意人物の特徴”も教えてくれないと、役には立たないような…。
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