世の中には、俗に「やり手」として評判の人物がいる。おそらく信越・松本市の飲食店街では、彼女はそういう評判で通っていたことだろう。昨日、弁護士同伴でマスコミに向かって自らの“無罪”を訴えた飲食店「スナックダイヤモンドリリー」の経営者・中原加奈美氏である。この会見がなければ彼女の顔やお店が全国に知れ渡ることはなかった。どの地方にもいる“気風の良い飲食店経営者”の一人にすぎなかったからだ。彼女は多分、自分は何の関係もないのに、まるで「犯人」であるかのように報道され、その結果、店の評判がガタ落ちになって、八方ふさがりになってしまった。それを解決する唯一の手段として、この会見を開いたのに違いない。彼女は今年の2月に突如逮捕されたのだが、それは4年前の“殺人未遂事件”によってであった。彼女の店で飲食した男女が突然体調を崩し、緊急入院、現在は回復したが一時的には意識を失うなど危険な状態にあった。当然、飲食した男女は、店で出されたお酒に薬物を混入された可能性があるとして警察に訴え出ていた。その捜査が4年後になって、この店の経営者と従業員合わせて5人逮捕という形になって表れた。ただ覚せい剤をお酒に混入したとされる月岡愛容疑者以外は3月29日付で「不起訴処分」となった。ちなみに、月岡愛は昨年の段階で既に「ダイヤモンドリリー」を辞めている。この事件は、ホストの奪い合いから“殺人未遂”にまで発展した“くだらない動機”なのだが、起訴されたホステス月岡愛だけでなく、不起訴となった中原加奈美氏と水野華菜子氏の3人がいつも一緒にホスト店巡りをしていた。したがって、或る意味で「共謀したのではないか」と疑われるのは当然なのだった。事件当日は、中原氏は店に居なかったらしい。おそらく、そういうアリバイもあるから、自分は“無関係”なのに、なぜ逮捕されたのか、共謀したかのように報道されたのか、納得できないこともあったのだろう。けれども、彼女は大きな“勘違い”をしている。例えば銀行で“横領事件”が起き、その銀行の窓口業務にあたっていた女性がそれを行っていたと発覚した場合、誰もがその銀行にお金を預けることに不安を持つ。その経営者は、自分がやったことではない、と開き直ることは出来ない。経営者というのは、その事業の全責任を負わなければならないのだ。そして、そういう事件を起こした従業員を雇っていたことに対して、また正しい従業員教育を怠ってきたことに対して謝らなければならない。飲食店において、異物の混入、ましてや覚せい剤の混入など、あってはならないことである。一時的には意識を失うなど危険な状態にあったのだ。これまで通常通りに営業を続けていたこと自体、問題とされても仕方がない。「無関係」でも「無実」ではないのだ。
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