年齢的に“若い人”ならば、社会的な事件としての「拉致問題」を“知らない”ということもあるかもしれない。けれども、この人は73歳である。或る意味で、もっとも“拉致事件”が騒がれていた当時、既に社会人として、ましてや本人はジャーナリストとして活動していた時期のはずである。したがって、どんなに鈍感であったとしても“拉致事件の詳細”は脳裏に刻まれているはずなのだ。立憲民主党の生方幸夫衆院議員の問題発言が飛び出したのは、多くの人を前にしたフォーラムでのことだったらしい。拉致問題について問われる中で「拉致被害者で生きている人はいない」と発言した。重ねての質問には「政治家はみなそう思っている」とまで述べた。この発言を受けて、質問状が「立憲民主党」の方に届き、党本部や枝野代表は“平謝り”となった。そして、すぐ生方氏本人も、自らの発言を“謝罪・撤回”した。けれども一連の発言には、重要な部分がある。彼は「拉致被害者を日本から一度北朝鮮に戻す、という約束だったのに戻さなかった。そういう政府だから、向こうが応ずるはずがない。もう正規の拉致被害者はみんな亡くなっている。自民党も含め政治家はみなそう思っている」と発言しているのだ。仮に、彼自身がそのように受け止めていたのだとしても、それを「政治家はみな」と言い切ってしまったことは大問題である。これまで成果は乏しくとも、拉致問題に努力してきた政治家は沢山いるからだ。これが、例えば“気心の知れた仲間内”での話だというのなら、現実問題として拉致された方々の年齢を考え「実際には何人生き残っているんだろう」といった発言なら、許されるかもしれない。けれども彼の発言は“全員死んでいる”と断定しているようなもので、しかも、北朝鮮が応じないのは「当たり前だ」と言わんがばかりである。これでは「家族会」などが怒るのは当然で、単に“県連の代表辞任”だけで済む話ではない。私が思うに、この人は元々「拉致問題」にはあまり興味がなかったのだと思う。そうであれば、問われたとしても「私にはよく解からない」程度に抑えておくべきで「生きていない」とか「政治家はみなそう思っている」とか、言い出したら関係者から“怒り”を買うのは当然であろう。こういう“社会的な問題”“理不尽な事件”に対して、興味を持てないような人は本来“政治家”になるべきではない。国の政治家は「国民の命と財産を守る」ために働かなければならない。それが嫌なら政治家になどならなければ良い。彼は“拉致被害者”を「国民」とは捉えていなかったのだろうか。
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