多くの人は勘違いしているが「時代」というのは必ずしも“前に進んでいく”だけのものではない。時には、後ろに“後ずさり”していくこともある。そういう繰り返しの中で「歴史」が形作られる。だから、そういう点から言えば、4月3日にブルネイ王国で発効された「新刑法」は“後ずさり型”ではあっても「時代」的にはまともな動きなのだ。東南アジアだが、日本人が訪れることは滅多にないのがブルネイ王国だ。私自身も行ったことがない。一度、行こうかと計画したが、日本からの場合、直接は行けないのだ。確かマレーシア(?)を経由しなければならなかったはずだ。今も王国であり、厳格なイスラム法が施行されている国の一つだ。現在、世界には数多くの“イスラム教国”が存在しているが、比較的“ゆるいイスラム教”の国と“強固なイスラム教”の国に分かれる。ブルネイは後者の方だ。だから「新刑法」では“予言者ムハンマドへの侮辱”も「死刑」の対象となる。怖いのだ。大体“侮辱”の境界線があいまいである。向こうで「インチキ預言者」などと書こうものなら、きっと逮捕され死刑にされてしまうに違いない。死刑にもいろいろあるが、イスラム教で用いる死刑には「石打ち」がある。大衆の面前で本当に石をぶつけて殺してしまうのだ。そんな痛い想いをして殺されるなんて、私には耐えられない。せめて、それだけはご勘弁を…と許しを願うのに違いない。けれども、それは認められず、容赦なく石をぶつけられ、顔面がぐちゃぐちゃになって倒れ込み、それでも頭から石をぶつけられ、頭蓋骨が壊れて亡くなっていくのだ。なんと残酷な死刑であることか。ちなみに「不倫」でも「同性間性交渉」でも、石打ち刑は適用される。だから日本人の場合、あふれるほどの人達が「石打ち」で死んでいくのだ。「不倫は文化」(古い)などと言っていられない。「文春砲」で終わりではないのだ。確か不倫の場合は、双方とも「石打ち」に遭う。よく「痛い想いをしなければわからない」という言葉があるが、分かった時には死んでしまうのだ。とにかく今のブルネイは、日本人が“暮らしてはいけない国”のような気がする。
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