最近、無人の「自動販売機」にさまざまな“新種”が加わっている。これも、その一つと言えるかもしれないのが無人「福箱」の登場だ。もっとも、置かれているのは今のところ東京中野区の住宅街にしかない。駅などで手荷物を一時的に預かってくれるコイン式ロッカーと、ほぼ同様なシステムなのが「福箱」の無人販売機だ。客はコインロッカーを開けるのと同じ仕組みで500円玉を投入して四角いロッカーの扉を開く。そして、その中に入っている最低でも5000円以上という“詰め合わせ”「福箱」を取り出すことが出来る。もちろん、中に何が入っているのかは分からない。けれども、500円玉で“5000円以上”の品物が入っている「福箱」を得られるのだから一日50個は、あっという間に無くなってしまう。中に入っているのは、食品、食器、衣料品などが主で、いずれも“新品”である。どうして、そんなに安いのかと言えば、もともと“激安王”と呼ばれた土橋達也氏が“仕掛けたもの”だからである。卸問屋でコロナ禍によって倒産したメーカー品など大量に仕入れるから“激安”にできる。中には正真正銘のブランド品を入れる場合もある。最近、正月の「福袋」がつまらなくなった。昔は「福袋」と言えば、中身が“なに”なのか判らないものと相場が決まっていた。だから価格的にいえば“何倍”もの商品を入手できるということで正月の風物詩となっていた。ところが、いつの間にか「福袋」は“その中身を教える”ものへと様変わりしていった。一つには、それほど金額的に“何倍”とか“何十倍”とかの商品を“詰め合わせ”出来なくなった販売側の事情もあった。また、購入する側も物資に溢れ“必要なものだけ買う”形に変化したせいもある。ただ本来「運試し」という形で始まったはずの「福袋」が最初から中身の判る商品を購入するのでは「福」としての悦びがない。何が入っているか、どれほどの金額のものなのか、判らないで買うから“運試し”になる。そういう意味では、最近の「占いコンテンツ」も、基本“悪いことは書かない”ものでないと売れない、という話を聞いたことがある。昨今は神社のお御籤でも「凶」を入れていない神社も多い。もちろん「福を掴みたい」という気持ちは解かるが、難関苦労を突破してこそ“大いなる悦び”を感じられるのも人生だ。もっと単純に「運に賭ける」という気持ちで生きる方が、自らの運命を克服できるのではないだろうか。
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