最近、日本ではあまり「IS(イスラム国)」のことがニュースで取り上げられなくなった。けれども、刻々と情勢は変化し、5月28日早朝のロシア爆撃機スホイ34、戦闘機スホイ35の空襲で「IS(イスラム国)」指揮官約30名が殺害された。その中にはIS最高指導者アブバクル・バグダディ容疑者が含まれていた可能性も指摘されている。もっとも、彼だけは先にラッカから脱出していたという説もある。このバグダディ容疑者こそ2014年7月「IS(イスラム国)」の拠点である都市モスルにそびえ立っていた“斜めの塔ミナレット”で「カリフ制国家の樹立」を宣言した人物である。この時からイスラム国は急拡大したのだ。けれども、その“斜めの塔ミナレット”が6月22日爆破された。市の象徴的存在だったもう一つの建物ヌーリ・モスクも爆破された。ミナレットの方は爆破の映像が記録されているが、明らかに“内部からの爆破”で、アメリカの空爆によるものという説は受け入れがたい。つまり、その内部に居たはずの戦闘員たちが自ら破壊したとしか考えられない。これはもう「白旗」のようなもので、完全なる奪回は“時間の問題”とされている。但し、拠点であるモスルでは一般市民が「盾」として包囲されていて、巻き添えを食う可能性が高く一気に全滅は出来ないのが現状なのだ。実際、解放された市民に紛れて“自爆する戦闘員”がここにきて急増している。この戦闘員の中には、少年兵や女性兵士も多い。イスラム国の場合、捕虜とした“キリスト教国側兵士”などは、全員オレンジ色の囚人服を着せ、後ろ手に縛り、一列に並ばせ、跪かせて、その後方にIS兵士が並んで銃を構え、一斉射撃で囚人たちの後頭部を打ち抜く方法をとる。なぜ、あえてこのようなことを書いたのかというと、最近は、その役割を少年兵や女性兵士にさせているからだ。幼い少年兵が大柄な囚人たちの背後から銃を構えて立つ姿は異様である。同じく戦闘服の女性兵士たちが囚人たちの背後から銃を構えて立つ姿も異様である。しかも、彼らは徹底した“思想教育”を叩き込まれているので、殺人を「悪」だと思わない。敵を打ちのめすことは“聖なる闘い”にとって重要で“神に称えられること”と信じてやまない。だから、疑うことなく銃を向ける。その眼は純粋に輝いている。
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