通常「裸」関連のニュースを取り上げる場合、女性を取り上げるのが相場だが、ここで取り上げるのは男性であり、それも「裸一貫」から始まって「裸一貫」に終わって逝った、という人物の“生き様”だ。「ホスト界の帝王」とも呼ばれた人物、それが裸一貫からホストとして成功し、自らも多数のホストクラブを経営した愛田武(享年78)氏であった。1971年に新宿歌舞伎町で「クラブ愛」を立ち上げ、城咲仁氏等の“有名ホスト”を誕生させ、辣腕経営者としてマスコミの脚光を浴びるようになった。日本経済の活気とホストブームに支えられ、連日大盛況で列をなしたと伝えられる。ところが自らの子供が次々自殺するなどプライベートは穏やかではなかった。やがて凋落が始まり、3度の脳梗塞で身体も自由が利かなくなった。結局、最期は都内近郊の老人ホームで孤独な晩年を過ごしていたらしい。そう言えば俳優の山城新伍氏も、その晩年は老人ホームで孤独のうちに亡くなった。タレントの飯島愛さんも晩年は孤独で不遇だった。人間には“さまざまな生き方”があるので、どれが「正しい」と一概には言えない。彼らの“生き方”にしても、“華やかな時代”に比べれば晩年は不遇であるが、元々「裸」からスタートしているのだから、最期が「裸」で終わったとしても、案外、悔いはなかったかもしれないのだ。実は、日本のバブル期に“巨万の富”を築いた人たちの多くが、その後に“経済的破綻”を招いている。歌手の千昌夫氏や畠山みどり氏などその典型である。その生涯において、一度も失敗しなかったような人はいない。そうだとすれば、一時期であっても“黄金時代”を築くことの出来た人達は、運命に沿った人生を歩んだ幸運児だったといえるかもしれない。
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