昨年10月一人の若い俳優が路上事故を起こした。人間、誰でも不注意なこともあるし、気持ちがイラついていることもある。だから、事故を起こしてしまったこと自体は“仕方がない”部分もある。けれども、その俳優は“そのまま”逃走したのだ。これは“仕方がない”で済ませられるようなことではない。もちろん「ひき逃げ事件」扱いとなり、その事件を起こした俳優の伊藤健太郎は警察に逮捕された。芸能人も時々、事件や事故に巻き込まれるが、今回の場合には“弁明の余地”がなかった。自分が轢いた怪我人をそのままに逃走したのだ。私は、最近の若い俳優をあまり知らないので、この「伊藤健太郎」という俳優も知らなかったが、若手俳優として“売り出し中”で多数の作品やCMに起用されていたらしい。もちろん、今回は単なる事故と違って「ひき逃げ事件」の犯人として逮捕されたのだから、未公開の映画作品とかドラマとかCMとかがいっせいに“お蔵入り”となった。当然、その賠償金が降りかかる。その総額は何んと7億9000万円にもなるらしい。本人がそれを認めている。近年は、情報化時代であっという間に“人気の頂点”に達するが、その反面、何かの事件で世間を“敵”に回せば、容赦ない非難を浴びせられる。批難だけならまだしも、実質的な“借金”となる「違約金(賠償金)」が発生する。彼自身は昨日一部のマスコミに出て「どうして、ああいう行動をとったのかわからない」「戻れるものなら過去に戻りたい」「この仕事で賠償金を返していきたい」という趣旨のことを語ったらしい。人は誰でも、永い人生には一度くらい「あやまち」を犯してしまうことがある。あとになって「どうしてあんなことを…」と後悔してしまうケースも多い。そして「戻れるものなら…」と誰もが思う。けれども、現実には後悔しても遅いし、戻れるものではない。但し、過去には戻れないが、未来は創り出せるのだ。「過去」に戻ることが難しいなら「未来」に“善きこと”を重ねていけば良い。実際、世の中の多くの“聖人”や“偉人”にも、そういう人は少なくない。つまり、自分の子供時代とか青年時代に行ったことに対する“懺悔(ざんげ)的な気持ち”が発端となって、さまざまな“善行”を行い、“世の鏡”となっていく人達だ。だから、若い時の「あやまち」は、いくらでも取り戻せるのだ。その「罪」から逃げ出さない限りは…。
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