長野県の動物園で、15歳の雌ライオン・ナナが22歳の女性飼育員を襲った。来園していて目撃した女性が、すぐ別の飼育員に通報し、比較的早く引き離すことが出来たので、重症ではあるが命に別状はないらしい。このライオンは動物園で生まれ育っていて、広大なジャングルで育ったわけではない。したがって、普段は比較的おとなしかったに違いない。普段から女性一人で“エサやり”等を行っていたらしい。そういうライオンでも、やはり猛獣としての“野性の血”が残っているのだ。何に反応したのかは知らないが、“野性の血”を蘇らせる何かがあったに違いない。昔、森村誠一氏の小説に『野性の証明』という作品があったが、そのタイトルを思い出させた。人間でも、過去に“犯罪歴”や“格闘技歴”や“非行歴”がある場合、普段は眠っていても、何かのはずみで“そのスイッチ”が入ってしまうということがあるものだ。野性動物も同じで、何かで“スイッチ”が入ったに違いないのだ。時折、飼育されていたゾウが飼育員を襲うとか、サファリパークのライオンやトラが車外に出た観光客を襲う事件が起こっている。普段はおとなしいゾウでも、いったん怒り出すと手が付けられない。人間など束になっても敵わない。踏みつぶされてしまうのだ。ライオンやトラの場合は洋服などがひらひら風で動くと、それに野性の本能が反応しやすい。今回の場合は何なのか、今のところ不明だが、何かがあったことは間違いない。過去のある人物でも、普段、社会復帰している場合、よほど何かで“スイッチ”が入らなければ人を急襲することはない。けれども、いったん何かで“スイッチ”が入ってしまうと「野性の証明」は覆しようもなく、理性が歯止めにはならない。そういう意味で“殺人”の過去を持つ人物を、野放しにするのは危険なのだ。
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