女優の北乃きい氏がTV番組の中で「毎日、霊が見える」ということを語った。幼い頃から見えていて、しかも、それらの霊がどういう状況でここにいるかなど「バン」と入って来るのだという。中々のものである。これは完全な「霊媒体質」という奴である。私が占いを教えた人の中にも何人かいた。私の「過去世」を見てくれた人もいるし、時に“急に苦しみだす”人もいた。北乃きい氏の場合は、自分で或る程度コントロールできるようで、そういう人は社会生活に支障はないが、自分でコントロールできない人はいろいろ支障が出てしまう。或る男性は「だから勤めても長続きできない」と嘆いていた。見え過ぎるのも考えものである。大抵の場合には、見えるだけではなくて、その“見えたもの”の“想念”とか“意図”まで感じ取ってしまう。だから、ひどく疲れるとか、苦しくなるとか、気分のむらなど生じやすい。「霊媒体質」は“家系・血縁”的な作用が大きいようで、たいていの場合、身内の誰か、先祖の誰かに“霊的な事柄”に関係している人がいる。私が思うに、霊的な事柄には“年齢的なもの”が多少関係していて、通常、3~4歳の頃から発現し始める人と、十代半ば~後半くらいから発現し始める人とがいる。幼い頃から発現する人の中には、いつの間にか薄れていく人もいる。十代半ばから発現する人も、社会に出てしまうと現れなくなる人もいる。そういう能力が世の中に役立つのは、自分で或る程度コントロールできて、必要な時にはいつでもどこでも見ることが出来るような、そういう人達である。ところが、実際にそれが可能な人は意外なほど少ない。昔は「霊媒師」とか「霊能者」とか「透視能力者」とかが活躍した。ところが、必ずと言ってよいほど「インチキ能力者」が出てくる。しかも、困ったことにはマスコミが取り上げる人の多くはホンモノの方ではなくてインチキの方なのだ。多分、インチキの方が演出が派手なので、それらしく見えてしまうのだろう。それに、この種の能力は“調子の良し悪し”が大きい。必ず、いつでも見えるような人は少ない。そういう点では北乃きい氏のように「毎日見える」「どこでも見える」というのは貴重なのだ。ただ、これがそれを本業としてしまうと、徐々に能力が失われていった例も多く見ている。「この世」と「あの世」の間には“見えないベール”が掛けられていることで、正常な生活が保たれているのかもしれない。よく「死者の念」というと、悪い意味でばかり捉えられがちであるが、必ずしもそうとは限らない。例えば、子供の“行く末”を案じながら亡くなった親は、当然その子に対し“案じる想い”を「念」として残しながら旅立つ。強い念は「形」となって、その場に残存する。だから、観る人が見れば、あたかもそこに今いるように見えるのだ。だから死ぬ間際に残される側が「大丈夫」などと言わず「不安」を伝えておけば、心配して、死後もなお“守ろう”としてくれる可能性が強いのだ。
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