昨日、プロボクシングにおける一つの試合があった。それは一人の男が、一人の女ボクサーのトレーナーとしてセコンドに付く、という試合だった。女ボクサーは今年に入って3度も顎を手術し、決して状態が良いとは言えなかった。男はまだまだ“未完成の女”をリング上に立たせた。トレナーとしての初仕事。男は女よりも緊張していた。けれども、予想を裏切るほど、女は勢いがあった。そして、自らのデビュー戦で敗戦した相手と戦いTKO勝ちを収めた。喜びでリングを駆け巡る女を、男は目を細めてみていた。それが元世界王者・亀田興毅の“新しい姿”だった。男は、女を“世界王者”にさせたいのだ。もう、自分の時代ではない。かつて日本中からバッシングされた男は、自分に見切りをつけるのが早かった。その代わり、自分が“新しい王者”を育てる。日本から、誰にも負けない“女子の世界王者”を出したいのだ。男が選んだのは「高野人母美」いろいろと問題の多い選手だ。モデルと兼業でもあり、まだボクシングを始めて4年と日も浅い。金のかかりそうな美人ボクサーだ。何しろ回転ずしを43皿も平らげるのだ。それでも、男は一仕事を終え“充実した笑顔”を見せた。人にはさまざまな“生き方”がある。どれが正しいかの答えはない。自らがスポットライトを浴びるのも喜びだが、その背後で支えていく、或いは育てていくことも喜びを得られる。若くして“世界王者”としての称号を与えられた男は、早くも“第二の人生”を選んだ。果たして、その愛弟子となった高野人母美はどれだけそれに応えられるだろう。世界への挑戦は、まだ始まったばかりなのだ。
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