昨年11月、両親を溺死させたとして一人の女性が逮捕され、先頃、懲役4年の判決を受けた。実際には親子三人で利根川に飛び込み、無理心中しようとしたのだが、自分だけ“生き残ってしまった”結果の判決だった。母親が81歳で認知症とパーキンソン病を患い、10年以上も献身的に介護し続けてきた娘の決断だった。先に言い出したのは父親の方で、それまで新聞配達の仕事を真面目に続けてきたが体調を崩し、仕事ができなくなり、生活に行き詰った。47歳の娘は父親の“提案”に即応じた。もう疲れていた。死の直前、生活保護を受けようと市役所に出向いたが、生活事情をしつこく問われて、申請は出来たのだが“惨めさ”に我慢ができなくなった。そう何度も法廷で「惨め」という言葉を使った。彼女を“死に駆り立てた”のは、その気持ちが一番だった。車で飛び込む直前、父親が「あっちゃん、ごめん」と背中で言っていたという。多分、父親も“惨め”な気持ちでいっぱいだったのだろう。彼女に“間違い”があるとすれば、それは「惨め」なのは彼女だけではない、本当は“みんな惨め”で、辛くて、悔しくて、明日が見えないんだけど、でも、だけど、どこかで“ちょっとだけ楽しいこと”もあるから、もしかしたら、明日は“もうちょっとだけ良いこと”あるかもしれないから、生きている。半透明な過去を引き摺り、本当はだれでも「惨め」をさらしながら、素知らぬ顔で、生きている。
彼がTVに出始めた頃、わたしは彼の発言に対し「それはないだろう」と思うことが多かった。それに、どこか人間としての“冷たさ”を持っているようで、その部分も私には好きになれなかった。た 続きを読む
たまたま2人の人物の新刊書と、それにまつわる自伝的なインタビュー記事を目にした。その一人は元将棋棋士の桐谷広人氏であり、もう一人は元プロレスラーの赤井沙希氏である。元棋士7段であっ 続きを読む
「北朝鮮」という国は、ほんとうに解からない。11月29日は北朝鮮で航空隊が創設された記念日「航空節」だが、それに合わせて金正恩氏と“その娘=ジュエ”氏とが空軍司令部を訪れたと報道さ 続きを読む
通常、政治家が“新党”を結成すれば、なんとなく一時的ではあっても“新鮮な雰囲気”が漂うものだ。ところが、今回の新党結成の記者会見は、そういう“新鮮さ”というものがまったく感じられな 続きを読む
単身者や核家族が多くなったことで、ペットを飼う人たちが増えている。犬や猫だけでなく、近年は“さまざまな生き物”をペットとしている例が多い。彼らのほとんどは、そのペットを「家族」とし 続きを読む
ときどき歴史上の人物が、歴史遺産的な事柄に対して貢献していた事実を知る。今回の貢献も、地味だが貴重な貢献と言える。ユネスコの「世界の記憶」国内候補として文部科学省が「三種の仏教聖典 続きを読む
人は最終的に“自分の居場所”を求めて生きて行く。どんなに恵まれた環境でも、そこに“自分が居ない”と思えば、その中で“倖せ”を実感することはできない。人は、本能的に“ここが自分の居場 続きを読む
歴史というのは、時として“逆戻り現象”を生み出す。日本は昭和初期(1920年代後半)の頃、結婚の7割以上が“お見合い”によるものであった。それが徐々に“恋愛結婚”が増えていって19 続きを読む
昔から「死人に口なし」というが、わたしは前から疑っている。ほんとうは死人でも“口がある”場合があるような気がするからだ。特に、殺人事件とか予期せぬ事故に巻き込まれるとかして亡くなら 続きを読む
作家の伊集院静氏が亡くなった。わたしがこの人に注目したのは、彼がまだ作家デビューしたての頃、たまたまその履歴に作詞家としてのペンネームがあり、その名の方で想い出す作品があり「おもし 続きを読む