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今日の迷言・余言・禁言

未来と運命に対するヒントがいっぱい


アメリカの最高裁が下した「理想」という選択


裁判官というのは、あたりまえの話だが「人間」である。「神」ではない。だから、その裁判官たちの“多数決”によって下される決定もまた“常に正しい”とは限らない。アメリカの最高裁が1973年に認めた「妊娠中絶の権利」を50年も経った今になって「憲法に反する」として“差し戻す”決定を下したのだ。それに対してアメリカ大統領バイデン氏は「悲劇的な間違いだ」と述べ、ニューヨーク州知事は「暗黒時代に逆戻りだ」と述べた。実際、日本人の感覚としては、いまになって何故「人工中絶」を認めないのか、理解に苦しむ。実は、賛成派の人たちの多くは古くからの伝統を重んじる南部の人や「聖書」信仰の強い思想団体に属する人たちが多いようで「この決定によって、何百万人もの命を救うことが出来る」と目を輝かせる。つまり、人工中絶が出来ない環境を作ることで、神によって授けられた“生命”を慈しみ育むことが出来る、と考える人たちなのだ。もちろん現実には“産みたくない妊娠”の人たちが無数にいる。アメリカの場合、低所得者層や有色人種ほど、この傾向が強いと言われる。一時期ほどではないかもしれないが、十代半ばで“不覚にも妊娠する女性たち”も多い。実際、そういう問題から50年前「妊娠中絶の権利」として判決が下ったのだ。今後もカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州などは「人工中絶を認める」ことを強く打ち出していて、そのための各種“補助金増額”を考える予定らしい。そうすれば、一部の州が決めようとしている「人工中絶は最大10年の禁固刑」という重い刑罰を受けなくても済む。奇妙なことに、今回の判決を受け入れる州は、約半数と視られている。つまり、アメリカはもう完全に「二分された社会」なのだ。かつては「自由の国」として世界から羨望されたアメリカだったが、あまりにも多様な民族や人種が混合し、さまざまな思想・主義が野放しにされたことで、もはや「理想」だけが“ひとり歩き”を始めたアメリカになってしまった。
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