全体的特徴
ホロスコープ全体の形状として、ドラゴンヘッドを頂点として“パラシュート型”に形成されている惑星配置と言えます。このような惑星配置では、そのパラシュートの頂点となる惑星が重要で、この場合は「ドラゴンヘッド」が、その役割を担うこととなります。正確に言えばドラゴンヘッドは惑星ではありませんが、ここでは“惑星の一種”として作用が及ぶものと捉えます。
「ドラゴンヘッド」とは俗称で、実質的には太陽の通り道である“黄道”と、月の通り道である“白道”とが交わる地点で、「月のノード」、「昇交点」、「羅喉(らこう)」等の異称もあります。なぜ、古代人がこの地点を“惑星”として捉えたのかというと、この地点において「日食」や「月食」が生じるからです。つまり、この地点で“太陽や月を呑み込む龍が出現する”として「龍の頭=ドラゴンヘッド」という“仮想惑星”を設定したのです。ドラゴンヘッドは、秘教占星学では“前世的関わり”を表わす星とされていますが、特別な親戚関係や対人関係が“運命を支配している”人に、主要な位置に来ているケースを多く見かけるものです。
他に、ホロスコープの特徴として、そのドラゴンヘッドと土星・冥王星と火星によって“大三角形”が形成されていることも注目されます。彼女の情熱やエネルギーは、人と人との繋がりの中で発揮されるもので、繋がりを失ってしまうと急速にパワーも衰えてしまうようです。
また、惑星の多くが地平線下にあって、私生活やプライベートな部分こそが“彼女の人生を導いていく”本質であることを表わしています。アーティストとしての表向きの活動より、陰に隠れたプライベートな部分での輝きの方が私には重要…と、地平線下の惑星配置は物語っているようです。
アスペクト
ホロスコープで際立っている“正三角形のアスペクト”は、ドラゴンヘッド―土星・冥王星―火星がそれぞれに120度で正三角形を形成し、今後も身近な人達との関係から生まれたエネルギーが、彼女の運命の歯車を押していくだろうことを予告しています。
他に興味深いアスペクトとしては、金星とドラゴンヘッドの135度アスペクト、金星と木星の72度アスペクト、金星と月の30度アスペクト―これらは金星のアスペクトとして、いずれも出現率の低いアスペクトで、彼女の“愛の形”及び“芸術の形”が豊饒な波動を持ちながらも、かなり特殊な傾向を備えていることを物語っています。同様に彼女の太陽も、冥王星と90度、海王星と30度、火星と30度、そして天王星とは一般に採用されない51度26分(360度の7分の1)アスペクトも存在しています。これらからすると彼女の意識下には、一般の人にはなかなか理解されにくい“逃避的な世界が横たわっている”のかもしれません。彼女の健康状態に関わりのある月は、土星・冥王星の両惑星から135度アスペクトで、婦人科系に支障が生じやすい傾向を示唆しています。
注目すべきは、仕事・職業と関わりの深い「MC(天頂)」にアスペクトする惑星の乏しいことで、一応、金星と水星がアスペクトしてはいますが、天頂付近には存在していません。先にも述べたように、彼女にとって“公的な生活”はそれほど重要なものではなく、プライベートな部分での生活の方がはるかに重要なのです。ただ、世間的評価や成功は「しし座」が意味する“華やかな世界”“ショービジネスの世界”で金星の意味する“音楽”や“芸術”、水星の意味する“著作”や“話術”でのみ与えられることでしょう。
注目すべきトランジット度数
93年からファミリーユニットとしてはデビューしていた彼女ですが、「Cubic U」名義で『Precicus』をリリースしたのは97年1月です。その時、トランジットの冥王星は「いて座」4度にあって、出生時の木星に0度でピッタリ重なり、トランジット海王星は「やぎ座」27度で出生時の太陽と0度で重なり、出生時の海王星とは30度アスペクト、トランジット天王星は「みずがめ座」4度で出生時木星と60度アスペクト、トランジット木星は「やぎ座」28度で出生時の太陽と0度で重なっていました。
彼女が宇多田ヒカルとして、FMでレギュラー番組を開始したのは98年10月で、トランジット冥王星は「いて座」6度で出生時の天王星と0度で重なり、トランジット海王星は「やぎ座」29度で太陽と0度で重なり、トランジット天王星は「みずがめ座」8度で出生時の天王星と60度アスペクト、トランジットの土星は「おうし座」0度で出生時の火星と60度アスペクトでした。
つまりトランジットの海王星が、出生時の太陽と海王星に強くアスペクトし、トランジットの冥王星が出生時の木星や天王星をアスペクトした結果、彼女の先天的素質が大きく開花したのです。
彼女が「卵巣腫瘍」と診断され、その摘出手術を行ったのは2002年の4月ですが、その時トランジットの冥王星は「いて座」17度にあって出生時の月に90度アスペクト、トランジットの海王星は「みずがめ座」10度にあってアセンダント(上昇点・ASC)に90度アスペクト、トランジットの土星は「ふたご座」11度にあってアセンダントに150度アスペクトです。また、その年の9月には“突然の結婚”を発表していますが、トランジットの冥王星は出生時の金星に60度アスペクト、トランジットの海王星は出生時の天王星に60度アスペクト、トランジットの土星は出生時の太陽に150度、海王星に180度、冥王星に120度です。さらにトランジットの木星は出生時の天王星に120度アスペクトです。
今回、無期限休養を発表した2010年8月はトランジットの冥王星は出生時のドラゴンヘッドに180度、トランジットの海王星は出生時の海王星に60度、太陽に30度、冥王星に120度アスペクトです。トランジットの天王星は出生時の太陽に60度、冥王星に150度アスペクト、トランジットの土星は出生時のドラゴンヘッドに90度、トランジットの木星は出生時のドラゴンヘッドに90度アスペクトと、出生時のドラゴンヘッドとトランジット惑星とで“大十字形”を形成していることは注目すべき事実です。