最近は日本のスーパーでも“無人のレジ”が出現し始めている。日本の場合はまだ店内を見渡せば必ず店員さんがいるから良いようなもののアメリカのように“完全無人化の店”が出来始めるのも時間の問題なのかもしれない。それを最も推し進めているのはアメリカの巨大企業アマゾンだ。最初は“通販書店”だと思っていたが、いつの間にか“何でも売る店”に変わりつつある。そのアマゾンが、いま力を入れているのが「アマゾンゴー」という“完全無人化の実店舗”なのだ。既に一部地域は続々と新店舗を誕生させつつある。同じような発想から“無人化の店”を推し進めている企業としてジッピンとかスタンダードコグニションが追従している。彼らの性質がそう思わせるのか、アメリカには“完全無人化の実店舗”が妙にお似合いなのだ。一方、日本はどうなのかというと、心情的に“完全無人化”には抵抗がある。少なくとも私はそうだ。そういえば十年ほど前、私の知り合いの男性が「これまで一度もATMを使ったことがない」と言って私を驚かせた。いつも、必ずカウンターで現金を下ろすのだという。私が「どうしてですか」と訊いたら「機械とかITなんて信用できないじゃないですか」と真顔で言った。その人の息子さんは富士通に勤めているのだが…。それほどではなくても、日本人はまだまだ“現金”への信頼度が高い。政府はキャッシュレス化を一気に推し進めようとしているが、高齢者の多い日本では難しいかもしれない。日本の場合、一つには“顔を見て安心する”という習性のようなものが根深い。そういう点ではロボットが高度化してくれば、日本でもキャッシュレス化が一気に進むかもしれない。完全無人化ではあっても“人間”の代わりに“ロボット”が接客してくれる。困ったときには親切に教えてくれる。そういうロボットを配置しておけば、完全無人化でもお年寄りたちは安心して訪れることだろう。日本の場合はコンビニが普及し過ぎているので、もし切り替えるとなればいっせいに切り替わる。あっという間にコンビニから店員が居なくなるのだ。そういえばピザなど“宅配の出前”も、アメリカではロボットの実用化を急速に進めている。さらに今最も力を入れているのが、バスやタクシーの無人化である。もちろん、その前提として“完全自動化運転”が出来なければならない。日本はこの点で後れを取っているとも言われる。街から人が消えて、無人化された店が並び、さまざまなロボットだけが動いている、それを「寂しい」とか「怖い」とか思ってはいけない社会が、もうそこまで来ている。
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