「赤い靴」という童謡を知っているだろうか。「♪赤い靴はいてた女の子…異人さんに連れられ行っちゃった」で始まる“もの哀しい曲”だ。私は幼い頃、この歌をなぜか“とても美しい歌”のように思っていた。それは多分、何となくのイメージで、私が親しかった女の子が着飾って船に乗り、ちぎれるほどに手を振って、見知らぬ国へと旅立つ姿が連想されたせいかもしれない。波止場に残された幼い少年はさみしさをこらえながら、女の子はきっと異国で幸せに暮らすんだろう…と佇んでいる。そんな風な歌だと勝手に思っていた。けれども徐々に大人になって、この歌の哀しさが、そういうものではないことが感じられるようになる。そうすると、どうしてこういう歌を「童謡」として子供たちに歌わせたり、聴かせたりするのか、理解に苦しんだ。あれから何十年も経って、また、この歌を思い出した。それは昨日、ミャンマー北部のカチン州とシャン州出身の女性達が中国に売られていき、結婚や妊娠を強制させられている事例が7500名にも達することが報告されたからだ。実は中国では「一人っ子政策」によって、男女比がいびつとなり、男性が女性よりも3300万人も多い。したがって自国の女性だけでは結婚相手が不足してしまう。そこで国境を接するミャンマー、ラオス、カンボジア、ベトナムなどの貧困層が狙われる。毎年、何万人もの女性達が“花嫁”として売られていく。或いは“妊娠・出産用の女”として売られていく。購入するのは、主に中国の田舎や農村に居住する高齢男性達だ。ミャンマーの場合、たび重なる紛争と貧困から逃れるように自ら志願する女性もいるが、大抵は家族や村の長老から懇願され、拒否できない状態で受け入れる女性が多い。若いほど値が高く110万円~170万円といったところだ。必ずしも「花嫁」と知らされての中国入りとは限らない。「就職」という名目で中国へ導くケースも多い。それが嘘だと思っても、拒否は出来ない。村の長老からの懇願は絶対であり、両親や兄弟たちも、それを望んでいる。こうしてミャンマーから“買われていく女性達”は、赤い靴も履かず、着飾ることもなく、異人さんに連れられて行く。
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