予測しにくい状態のことを「一寸先は闇」というが、まさに「人の運命」はその代表的なものである。池江璃花子選手と言えば、水泳界における“我が国のホープ”である。ところが、昨年、予期せぬ“病魔”が彼女を襲った。「白血病」という“生命を脅かす病”が彼女を待っていたのだ。もはや水泳どころではなくなった。東京五輪どころではなくなった。金メダルどころではなくなった。優先されるのは「命」の方だった。緊急入院をし、彼女自身の口から「今、生きていることが奇跡」と言わしめた状態の中での闘病生活を送った。そして、彼女は返ってきた。今年3月17日、406日ぶりにプールへと入って練習を再開したのだ。奇妙なことが起こった。今年7月に開催されるはずだった東京五輪が、一年延期となったのだ。こうして、完全にあきらめたはずの「東京五輪」が、なぜか再び目の前にある。まるで、自分を待っていてくれるかのように、来年にある。もちろん、病み上がりの身体ですぐに出場できるものかどうか、出場したとして、メダルが狙えるものかどうか、それだけの回復を示しているかどうか、今の段階では何とも言えない。けれども、少なくとも、その“希望”は出て来たのだ。ここに“人生の不思議”がある。私は以前、彼女に対して、その名前自体に「水泳界の申し子」としての意味があることを書いた。「池江璃花子」とは、池や河の中で瑠璃色に輝く花の子なのだ。この名を得て、水泳界で成功しないわけがない。と同時に彼女には、ホロスコープに“生命の神秘”を宿している。私が「霊的な生命力」と名付ける太陽と冥王星の150度アスペクトを備えているのだ。さまざまな実例が、それを証明している。もちろん彼女の場合も、この「霊的な生命力」の不思議な力が「今、生きていることが奇跡」と彼女自身に言わしめたのだ。これは、決して彼女だけの物語ではない。多くの人生には「一寸先は闇」と言えるような出来事が起こり、それによって“大きな挫折”や“予期せぬ窮地”に追い込まれるようなことが稀ではない。「神は居るのか」と叫び出したいようなこともある。けれども、その中にも、かすかな“救い”はあって、そのかすかな“救い”で人々は生きている。それがやがて「光」となって輝きだすことも往々にしてあるのだ。人生には「闇」もあるが「光」も潜んでいる。
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