約3万年前、大陸から日本人の祖先が沖縄へと渡ってきた。確定はしていないが、一応そういうことになっている。最初に日本列島へ渡ったとみられる古代人のルートは三つあって、おそらくは沖縄と対馬と北海道。そのうち、もっとも難しいとされているのが「沖縄・与那国島」へのルートだ。7月7日の午後2時38分、台湾南東部の海岸から一艘の丸木舟が出港した。それは3万年前を再現した丸木舟だ。そこに乗り込んでいるのは男性4人、女性1人の合わせて5名。国立科学博物館が選抜したメンバーだ。彼らは太古にわれわれ日本人の祖先が、どうやって沖縄に到達したか、本当に可能だったのか、同じ条件で検証してみようとしている。言ってみれば、彼らは“ニセ古代人”なので、古代の人々が本当にそのルートで来たのか、来れたのか、定かではない。けれども再現する以上は“手漕ぎ”で実証するしかない。3万年前なので“羅針盤”などはない。おそらく途中止まることなく漕ぎつづけて30~40時間かかると見積もられている。一応、危険を伴うので、伴走船がつく。もしかしたら途中ギブアップになるかも知れない。ピラミッド建設でも感じるように、古代人の英知と体力はただものではない。だから、もしかしたら、単なる丸木舟のように見えても、それなりの秘密兵器が備わっていたかもしれない。或いは超人的な方向感覚とか耐久力とか視力とか、何かが決定的に違っているかもしれない。とにかく、無事に与那国島へと辿り着けることを祈りたい。最初に沖縄に渡った人々は海洋民族だったようで、海産物を主食源にしていたとみられる。間違いなく呪術を行っていたが、どういう呪術だったかは明確ではない。それに対して大陸から対馬に渡った古代人は、明らかに亀卜の呪術・占術を行っていた。対馬には古代から伝えられた亀卜の資料が存在していたからだ。北海道に渡って来たのはアイヌ民族の祖先で、同じ大陸でも北方系とみられる。どちらかというと素朴な生活形態がずっと維持され続けた。アイヌ民族にも独特の呪術・占術が存在するが、文字で書き残すことをしていなかったため、現在まできちんと伝承されてきていない。その点は何んとも惜しい。私は、昔から、古代の呪術・占術を研究するのが好きだった。そういう点で、メソポタミアで行われていた「肝臓占い」、ヌビアで行われた「コーヒー占い」、ギリシャで行われた「水盤占い」、トルコで行われた「鉛占い」など、まだまだ習得してみたい占いは山ほどある。それらを正しく教えられる占い師や秘伝書が見つかればの話なのだが…。
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