元NGT48・山口真帆氏の「仮面」が徐々に引き剥がされようとしている。週刊誌などではなく、裁判資料の一部開示によってだ。私はこれまで、この問題を“真正面”から扱わなかった。その一番の理由は、人というのはいったん思い込むと、なかなかそれをクリアできない。かなり熱狂的とも思える“山口真帆信者”たちがいて、そういう人には何を書いても無駄だろうと思っていたからである。今回、公開された「準備書面」と呼ばれるものの中には、相当具体的に被告であるAと原告側の所属メンバーであった山口真帆氏との関係が記されている。この裁判の要点は二つで、その一つは「暴行容疑」とされるものが実際にあったかどうか、その事件とNGT48運営会社の「損害」との間に因果関係があるのかどうか、である。「暴行容疑」そのものを裁く裁判ではない。もし、被告であるAが事件以前から山口氏と“親しい関係”にあった場合、“個人的やり取り”があった場合、一部に伝えられた「見知らぬファンから不意に襲われた」的な表現は、少なくとも的を得ていないことになる。もし、提出された書面通りだとすれば、少なくとも山口氏はAと何度も顔を合わせている。しかも、2018年10月と11月の握手会には60分間という長時間の間、顔を合わせて話している。このような事実は、運営側がその記録を調べればすぐに判明することで“ウソの記述”とは思われない。そういう相手が、仮に“不意に出現した”としても、ドアの手前で“押し問答”があったとしても、それがすぐ「暴行」に結び付くのかは大いに疑問である。もう一つ、私が重視するのは、被告であるAが2017年4月の時点で、山口氏と同じマンションの別の階に転居していることである。これは事件が起こる8カ月も前のことだ。これも、記録を調べれば事実かどうかわかることで“ウソの記述”とは思われない。そうだとすれば、同じマンションの住人同士だったということになる。被告の書面では、もちろん偶然ではなく、山口氏が自分の住所を教えたから、その同じマンションに転居したということになっている。暴行を受けるかもしれないような相手に、自分の住所を教えるだろうか。被告の記述によれば、だから廊下で会ってプレゼントを贈ったりもしていたという。ところが、その後、連絡が取れなくなったので、先の“握手会で60分”という方法を採ったと記述している。山口氏が私的交流を絶ったのは、NGT48でファンとつながって処分を受けたメンバーがいたかららしい。同時に、Aに対し他のメンバーとも交流があり、自分との関係を漏らしていたと疑ったようだ。この“やりとり”の後で、問題の事件が起こっている。もっとも既に公開されている事件直後の「公園音声」では、いろいろ違った説明になっている。したがって「準備書面」に記された経緯も、どこまでが真実かはわからない。けれども、少なくとも「暴行」を疑わせる関係ではなかったと考えるのが妥当のようだ。そうすると「公園音声」に、何度も出てきた山口氏の言葉「あんたの人生を滅茶苦茶にしてやる」という言葉だけが真実を物語っているような気がするのだ。
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