中米にある小さな国がエルサルバドルだ。この国の国民の多く(7割以上)は「銀行口座」というものを持っていない。したがって日常生活では“困る事態”に遭遇することも多い。そこで、何とかその悩みに応えるべく、2年前に誕生した若き大統領は、議会を通じて“新しい法案”を通過させた。その法案とは「暗号資産(仮想通貨)」であるビットコインを“法定通貨”として採用する議案で、このほど賛成多数で議会を通過させた。したがって今後はドルと共に法定通貨として、つまり国が認めた“お金”としてビットコインは流通される。早い話が、現金を持っていなくてもビットコインをスマホに入れておけば暮らしていけます、ということになった。私はそれより国民すべてに「銀行口座」を持たせた方が早いような気もするが、この国には、この国の“やりかた”があるらしい。ただ現実問題として、ビットコインが暮らしの中で使用されると問題点もいろいろと出てくる。とにかく、この通貨は価格変動が激しい。ドル円換算のように“落ち着いて”いないのだ。例えば3カ月前の円換算と現在の円換算とでは“半分くらい”の値しかない。仮に3カ月前まで1ビットコイン=70万円だったとすれば、今ではその半分の35万円くらいにしかならないようなものである。元々が“仮想通貨”なので、暮らしに使われる通貨と違って値動きが激しい。したがって、日常の飲食や買い物などで用いるのは、かなり難しいのが実情なのだ。一部では“法定通貨”に定めても、実質的には定着しないのではないか、と言われている。しかしブケレ大統領としては、これを普及させることで、税金の支払いや各種サービスなども受けやすくなると主張している。もっとも、この先ビットコインが急騰するなら、国民の暮らしは一気に豊かになっていく……に違いない⁉
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