インドやジャマイカで昔から「神の草」として珍重されてきたのがインド産の大麻である。強い陶酔成分が含まれ、時に“幻覚”や“幻聴”を生み出す。宗教や呪術の儀式などでは、それが一種の“神秘的雰囲気”を醸し出すので、時にスピリチュアル系集会などでも用いられることがある。もちろん、日本では禁止薬物だ。ところが、最近になって、この大麻を合法化するところが出て来ている。今年になってカナダでは、大統領自らが過去のマリファナ体験を告白、そして医療用ではなく、嗜好用のマリファナが賛成多数で合法化された。世界で二番目の“全面的な解禁国”となったのだ。これに続けとばかりに、昨日、ニューヨーク州が嗜好用の大麻を2019年から合法化することが決まった。アメリカでも前オバマ大統領自身が、若い時に何度かマリファナ体験をしていると告白している。実はニューヨーク州だけでなく、アメリカではカリフォルニアなど10の州で解禁されている。但し、連邦政府としては認可していない。つまり、国レベルでは禁止しているが、州レベルでは個々に異なっているのがアメリカの実態なのだ。さて日本では、当然、許されてはいない。許さない一番の理由は医学的な見地からだ。つまり大麻は、幻覚作用が強いだけでなく、常習すると肺がんの発生率が高くなるのだ。通常のタバコ喫煙者より60%も高くなる。また全身を巡るため、特に神経細胞への影響力が強いとされる。記憶力や思考力の消失、時間観念の欠落、協調性の欠落などが生じやすい。さらに心臓発作、統合失調症や躁うつ病の発症原因となるケースもある。そういう弊害多い薬物を、なぜ用いようとする人が多いのか。それは何よりも或る種の高揚感、陶酔性、緊張感からの解放、現実から逃れる幻覚性が強いからだ。つまりは誰でも悩みがあり、抑圧があり、苦しみがある。現実逃避をして高揚感に浸り、陶酔的な気分を味わいたいからだ。こうして、ニューヨークでは既にその税収が計算されていて、500億円を超えると予想されている。だんだん何が正しいのか分からなくなってくる。一つだけ言えるのは、アメリカの大統領も、カナダの大統領も、若い時にはマリファナを体験した若者が選ばれているということだ。わが日本では、どう考えても、そういう若者は政治家にならない。それが日本の“救い”なのか、“大いなる弱点”なのか、私には解からない。
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