「函館」と言えば、北海道を代表する観光地の一つだ。その「函館」がいま“人口流出”を何とか防ごうと、レトロな旧市街の“活性化”に乗り出している。これは函館に限ったことではないのだが、北海道の観光地の多くは“観光地”としてはそれなりに活性化し続けているのだが、若者の人口流出が止まらない。特に昨年から今年にかけては、観光客の減少が顕著なため“観光地”としての景気や活気が低迷している。「長崎」や「神戸」と並んで夜景の美しい「函館」の場合、海外からの観光客も多いのだが、その海外客の見通しがまったく立たない。活気が失われるのは当然だろう。特に“見どころ”の多い旧市街は坂道に古い建物が多く、レトロで情緒たっぷりなのだが、居住地として考えると、若者たちが望むような“便利で住みやすい”環境条件を備えていない。したがって管理者不在の“空き家”がどんどん増えていく。そこで何とか“活性化”させようと、若者たちを呼び込むための“新しい共同住宅”構想が進められている。レトロな街並みを損なわないような形でシェアハウスや本州企業の“リモートワーク”を可能とするような街づくりを構想しているようだ。90年代に34万人だった人口も、今は24万人まで低下している。近隣の街では「若者の移住を優遇する街づくり」が早くから行われてきた。観光地として、それなりの知名度があった「函館」は観光客を優遇しても、地元若者たちをそれほど優遇してこなかった経緯がある。今頃になって“観光地”としての「函館」と、“居住地”としての「函館」の共存に力を入れても、少し遅すぎるのだが、同じような状況は全国各地の“観光地”や“温泉地”にもある。ヨーロッパなどでは、あきらかに“観光地としての旧市街”と“居住地としての新市街”とを分けて、観光都市を維持する“街づくり”が徹底している。ハッキリと“区分け”していると、レトロな街並みがより“活きて”来るのだ。日本の場合、必ずしも「空き家問題」は観光地に限らないが、特に“観光地や温泉地の空き家”は目立ちやすいし、何となくの“うらぶれ感”のようなものも感じてしまいやすい。そういう意味では、全国の観光地や温泉地の見本となるような“新しい街づくり”を積極的に進めてほしい。
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