福岡の母子三人殺害事件は、夫である現職警察官が逮捕される結果になった。但し、夫は犯行に対して「事実ではありません」という言い方で否認している。律儀な警察官らしい否認の仕方だ。逮捕の決め手となったのは、妻の指先から夫のものらしい皮膚片が見つかったことらしい。これが事実なら決定的な証拠と言える。夫と第一発見者である実姉とは、彼女が“子育てで悩んでいた”と証言したらしい。最初、だから無理心中として処理されかけた。しかし、その死因が“練炭ではない”ということになって、殺人事件に切り替えられた。自殺に見せかける…というのは実は大変に難しい。後から工作しても、検視官が見ればすぐわかるのだ。警察官である夫は、その辺の知識は持っていたはずで、そういう意味では疑問が残る。通常、子育てに悩んでいる場合、子供たちが学校へ行く時、玄関まで出て来て“手を振る”などという行為は行わない。本当に悩んでいたら、それは出来ないのだ。ご近所の人達が、ずっと手を振っていた母親を目撃している。警察官の夫と妻の実姉とは“子育てで悩んでいた”と証言している。なぜ、二人は“口裏を合わせた”のだろう。二人が、どういう関係だったかはわからない。“強い殺意”を持っていたという殺害方法の手口は、もし、夫が殺害したのだとすれば、確実に殺さなければならない理由が存在していたことになる。仮に、夫と妻の実姉とが“深い関係”にあったとしても、それだけで“三人を殺害”という気になるだろうか。夫と子供達との関係が、最近まで良好だったことは周囲の証言から窺われる。この点からも奇妙なのだ。実姉にしても、妹の子供達である。仮に、妹の夫と“深い関係”になったとして、妹の子供たちまで巻き添えにしようと思うだろうか。ミステリードラマなら楽しめる内容だが、現実の事件としてはあまりに哀しく残酷である。
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