勝負事には「運」がつきものである。その「運」を持っていれば実力以上の勝利を得たり、栄誉を勝ち取ったりする。もし「運」を持っていなければ、誰もがその実力を認めながらも、栄光を手に出来ずに終わったりする。そういう点で気になったのが、今年の“ドラフトの目玉”と期待されている大船渡高校の佐々木朗希投手だ。前日、準決勝で15三振を奪って完封勝利を達成して挑んだ決勝ではベンチでの“控え選手”となったのだ。その結果、大船渡高校は大敗し、結局、佐々木投手は負けていないのに“甲子園出場”は夢と消えた。彼自身は「監督が決めたことですから」と自分が“控え”に回ったことを悔やむ風はない。けれども、自分が出ていれば「勝てたかもしれない」という想いは卒業まで引き摺ることだろう。もちろん監督は“将来の大器”に無理をさせたくない、という気持ちだったのかもしれない。けれども、過去の甲子園出場校では連日の投球は、当然のことのように行われてきた。ここ数年、将来のことをおもんばかる風潮が出て来て、連投させないような高校も出てきている。本来、甲子園の高校野球は、あくまで“高校生の全国大会”で「プロ採用テスト」の大会ではない。他の競技などでは連日“エース”を投入するのは当たり前のこととなっている。高校野球だけが“プロ予備軍”のような扱い方をすることには違和感を覚える。それはともかく佐々木投手の「夏」は終わった。当然のことながら、甲子園には出場できなくても、彼には“ドラフト指名”が掛かることだろう。けれども、考えようによっては佐々木投手には「栄冠」がない。現在、米大リーグで活躍している田中将大投手は、そういう点で“奇妙な運”を持っていた。彼は「駒大苫小牧高校」のエースだったが、元々は兵庫の出身で北海道の生れではない。兵庫の高校ではエースとなれたかはなはだ疑問なのだ。北海道に来たことで2年生からエースとなった。そして3年連続甲子園での決勝進出という偉業の立役者となった。それまで、この高校は決勝進出はおろか甲子園出場さえ一度しかなかったのだ。しかも初戦で大敗して帰っている。つまり田中将大氏が入ったことで急に「勝ち運」に恵まれだした。そして2年連続で甲子園優勝を果たした。実際、彼が卒業した後は“昔の勝てない高校”に戻っている。プロ入り後も、彼の“強運”はついてまわった。思わず当時の野村監督が「マー君、神の子、奇跡の子」という名言を口走ったように、彼がいる間「楽天」というチームそのものが強くなった。そのような点から考えると、自らは準決勝で2安打15奪三振完封で勝利したのに、結局、決勝戦では“控え選手”に回ってチームは大敗し、甲子園さえも出られなかった投手には“先天的な勝ち運”というものが乏しいような気がするのだ。実際、プロに入っても、味方チームが打ってくれないため実力の割に“勝てない投手”というのがいる。彼がそうならないためにも「運」を与えるチームが獲得するよう願っている。
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