全体的特徴
ホロスコープ全体で見れば、特別目立つような惑星配置が沢山見受けられる出生図とは言えません。むしろ、特徴と言えるような特徴は乏しく、そういう意味では“占い師泣かせのホロスコープ”と言えるかもしれません。太陽・月・水星の動きの速い星達が、いずれも「みずがめ座」に集中しています。これは彼女の生活の根本に或るもの、及び感覚が“特異なもの”であり“ユニーク”であり“風変わり”であることの証です。基本的に意味もなく“右に倣え”するのは好きではないはずです。又、「みずがめ座」「おうし座」「しし座」「さそり座」に在る惑星が、180度で向かい合っています。これらの星座が“不動星座”と呼ばれ、どちらかと言えば頑固一徹で、いったん決めたことはなかなか変更したがらない星座であることから、彼女の内部にも“頑固一徹”な面が宿っているものと見られます。
太陽と月とは5度以内に接近し、アスペクトの「0度」を形成しています。したがって、社会生活と私生活とが“一体化しやすく”どちらかがその犠牲となりやすい傾向を表しています。つまり、仕事を取れば愛情がおろそかになり、愛情を取れば仕事が空回りすることになりやすい筈です。特に「みずがめ座」内で一体化しているので、本来の性格は“公私を分けたいタイプ”ですから、それが出来ないかのような生活が長く続くと、ストレスが溜まって来ることでしょう。
MC(南中点)は「おひつじ座」にあって、基本的には“独立自営”で生きていくタイプです。又、職業選択に第三者からの干渉や口添えを極端に嫌う傾向が顕著です。そのMCに対して第7ハウス内の月が、60度でアスペクトしています。仕事上で人気を得ていく可能性と、変化や浮き沈みが大きい可能性が暗示されています。
一方、アセンダント(上昇点・ASC)に対しては冥王星と土星がアスペクトしていて、特に土星は第6ハウス内にあって150度アスペクトで“持病・慢性病に要注意”と警告しています。30度でアスペクトする冥王星の方は金運に作用し、莫大な財を得る可能性があると同時に、信じていた相手に騙されるとか、裏切られるとかした場合は、莫大な借金を背負う可能性もあるから注意しなければいけません。
アスペクト
最初にも述べたように、そんなに種々のアスペクトが交錯する出生図ではありません。したがって、注目すべきアスペクトは或る程度限られています。
まず、私が一番に注目するのは「みずがめ座」14度の水星と、「しし座」14度の天王星による180度アスペクトです。この水星と天王星との0度や180度のアスペクトは、特別な能力を持っている人にしばしば見受けられるもので、世に知られる発明・発見・新企画で一世を風靡するとか、社会的に影響を与えるインパクトの強い人物に見受けるアスペクトです。頭脳優秀ですが、神経は過敏でしばしばノイローゼや精神的な病にまで陥る可能性も秘めています。この人の場合、太陽と天王星も180度アスペクトですが、多少ずれているので前者ほど強烈な作用はありません。
このアスペクトは“独立・独歩”を意味する相で、早くから親元を離れて、誰にも干渉されない生活を開始するのが普通です。又、独特の“ユニークな人生観”を持っていて、その部分に関しては頑固一徹で絶対に曲げません。なお、太陽とドラゴンヘッドが120度アスペクトとなっていますが、著名人や社会的地位ある人物との接点・協力が得られやすい星の配置で、それが本人の人生を向上・発展させていく秘訣となります。
また、太陽は土星と45度アスペクトです。第7ハウス内の太陽に対して土星からのアスペクトなので、パートナーからの負担・苦労を抱えやすい人生であることを暗示しています。
それ以外では「おうし座」28度の火星と、「さそり座」29度の木星が180度アスペクトで向かい合っています。これは忙しい生活、金銭的出し入れの大きいこと、性欲・官能への激しい欲求…等を物語っています。他の惑星達と切り離される形で向かい合っているので、よりそれらの意味合いが強調されます。木星は第5ハウス内にあって、元々“恋愛欲求”“性欲本能”の拡大しやすい生まれであることが暗示されています。同時にここは「創作の部屋」でもあり、旺盛な創作意欲の根源がここにあるものと思われます。
注目すべきトランジット度数
彼女の記念すべき初体験と男女間の本格的な交際開始年は、トランジットの海王星が出生時の金星に対して90度、トランジットの天王星が出生時の火星に150度、トランジットの木星が出生時の金星に0度アスペクトで重なっています。木星と金星との重なりは、俄然、交際範囲が拡大していった可能性もあります。彼女が親元を離れて大学に入学した年は、トランジットの天王星が出生時の金星に対して120度、トランジットの土星が出生時の金星に150度、トランジットの木星が出生時の火星に0度アスペクトで重なっています。天王星や土星からのアスペクトは、対人関係に変化が出てきた可能性を窺わせます。又、木星と火星のアスペクトは“情熱を抱くもの”が出て来ると同時に、親元を離れて、性的欲求が一気に強まったのかもしれません。
プロ漫画家(女子大生エロ漫画家)として注目され忙しくなった1979年は、トランジットの主要な惑星がいっせいに出生時の太陽(「みずがめ座」18度)にアスペクトを投げ掛け、冥王星が120度、海王星が60度、天王星が90度、土星が150度アスペクトで、いずれもオーブ1度を超えない範囲内にあります。つまり、良くも、悪くも、彼女の個性や能力が社会的に注目を集めたことは間違いないのです。
彼女が処女作を書き上げ「文藝賞」を受賞した1985年は、トランジットの海王星が出生時の土星に0度、太陽に45度、冥王星に120度、ASCに150度アスペクトです。トランジットの天王星は出生時の天王星に対して120度、出生時の水星に60度アスペクト、さらにトランジットの木星は出生時の水星に対して0度で重なり合っています。水星―天王星のタイトな180度、まさに“発明・発見のアスペクト”或いは“才能が「賞」という形で評価されるアスペクト”を生まれながら備えている彼女が、最初に射止めた年時に相応しいアスペクトである―と言えます。
直木賞を受賞した1987年は、トランジットの天王星が出生時のMCに対して120度、トランジットの土星が出生時の太陽に60度、トランジットの木星が出生時のMCに0度で重なっています。
彼女が入籍・挙式した1990年はトランジットの海王星が出生時の天王星に対して150度、トランジットの冥王星が出生時の太陽に90度、トランジットの木星が出生時の木星に150度で、正直なところ、あまり結婚に相応しいトランジットではありません。その一方、離婚に至った2006年はトランジットの天王星が出生時の金星に対して0度、トランジットの海王星が出生時の太陽に0度、トランジットの木星が出生時の太陽に90度アスペクトで、これは相応な星の配置に一致しています。