いつの時代も、ブームを牽引するのは“若者たち”と相場が決まっている。その時代を象徴するような“新たな若者たち”が街に登場して、新たな“流行”を生み出し、新たな“文化”を担い、新たな“時代”の幕開けを予感させるものだ。そういう意味では「アムラー」や「ガングロ」は“一つの時代”を牽引していた。その頃に誕生していたギャル雑誌「egg」が、装いも新たに5月1日復刊された。この手の雑誌が次々と休刊していった2014年から、もう5年経っている。ただ完全復刊なのかどうか、よく解からない。反響の大きさに、とりあえず“秋号”を出すことだけは決まったらしい。あの当時、極端な厚底ブーツやパンプスは歩きにくそうだった。ガングロメイクも“似合う子”と“似合わない子”がいた。それでも、少女たちはこぞって、そういう方向に流れた。それこそまさに“ブーム”なのだ。ブームというものは、本来、マスコミとか芸能事務所とかが作り出すものではない。マスコミなど騒がなくても、若者たちの間で“自然発生的に増えていく”。日本の70年代から80年代にかけては、そういう意味では独自の“文化”や“芸能”が次々と花開いた。占い雑誌が次々と登場したのもその頃で「マイバースディ」「エルフィン」などは、その代表的な存在だ。ちなみに「マイバースディ」は1979年に創刊し、2006年に休刊していたらしい。その復刻版が何年か前に出た。そして今年は“復刻版”ではなく“新たなる復刊”ということで4月に「My Caiendarマイカレンダー」という雑誌が出ていた。一応、私は取り寄せてみたが、正直、がっかりしただけだった。80年代の読者は今少なくとも40代にはなっている計算で、復刊するなら“そういう年代”に向けたものでなければならない。ところが、その内容は完全な少女向けでもなく、さりとて大人向けでもなく、実に中途半端で、その内容も“入門書の域を出ない”ものでしかなかった。いったい、どういう人がこれを購入するというのか。占い好きな人はどの年代でもいるが、70年代後半から80年代にかけての“占いブーム”では、明らかに“入門以上の知識”が各雑誌に掲載されていた。その雑誌類を呼んでいた人たち向けとしては、あまりに幼稚というか、中身のない雑誌となっている。もし、これが“十代の少女”向けというなら、面白さや華やかさが欠けているし、中年向けというなら実用性に欠けている。よくTV番組で“昔を懐かしむ”だけの番組があるが、それと変わらない。もう「占い」は“昔懐かしいもの”という捉え方でしか出せないなら、出さない方が良いのだ。
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